初音ミク前夜

【日本を救う小さなトップランナー
クリプトン・フューチャー・メディア
(効果音の販売)
 音が創る「見えない市場」
 
映画やドラマに欠かせない効果音の販売で国内トップシェア。
パソコンと携帯電話の普及が、活躍の舞台をさらに広げている。
拝金主義に溺れない堅実な起業家精神が成長の原動力だ。
「日経ビジネスオンライン」2009年2月16日

2009年2月16日にアップされた(どうでもいいけどURLが0209だね)この記事、「お、クリプトンの記事か……あ、あれ?」と読み進めるとどうにも違和感がある。
「クリプトンを取り上げてるのに、なんでアレの話が出てこないんだ?」
よくよく読んでみたらこの記事、初出は『日経ビジネス』2007年6月4日号でした。つまり、初音ミクの大ヒット直前に、その製造元クリプトン・フューチャー・メディアに取材していたという記事です。
記事が主眼に据えているのは、タイトルどおり「効果音の販売」のほう。当時、それだけでも既に「高い利益率を維持しながら、着実に成長している」注目企業だったんですねぇクリプトン。
ボーカロイドについては3頁目でようやく言及。将来の事業展開としてざっくり触れている程度です。

もう一段の成長に向けてクリプトンが力を入れているのが、音符と歌詞を入力すれば、コンピューターが人間のように歌ってくれるソフト「ボーカロイド」だ。(略)既に男性ボーカルと女性ボーカルの2種類を販売している。7月には、東京・秋葉原に集まる若者に人気のアイドルの声を素材にしたソフトを売り出す。一部の購入者が、女性ボーカルの声を使って、自分の好きな歌を歌わせ、自分好みの言葉をしゃべらせて楽しんでいることに注目した商品だ。

そう、「秋葉原に集まる若者に人気のアイドルの声を素材にしたソフト」が、他ならぬ初音ミクです。結果的に「もう一段の成長」どころでなくなりましたな。目端が利くというか、「一部の購入者」の楽しみからよくも大ヒットの筋を掴んだものだと感心します。また、まさに「初音ミク前夜」というべきタイミングで記事にした『日経ビジネス』もGJでしょう(でもあんまり早過ぎてかえって注目されなかったんじゃないかって気も・苦笑)。