ケータイはバディか?その1 ―セグニティはコケた

以前にも話題にした「タカラトミーツンデレTV「SEGNITY」に見る愛着主義」(日経BPオンライン11月10日付・川口盛之助)を、再び取り上げてみる(11月18日付)。ツンデレTV「SEGNITY」というのはワンセグチューナーの小型TVなのだが、ひとつ変わった機能が付いている。操作をするとしゃべるのだ。

購入してしばらくの間、つまりまだ初対面の頃は、声の主である女の子は人見知りしてツンツンしています。チャンネルを変えようとすると、「ちょっとぉ、見てるんだからチャンネル変えないでよね」などと生意気です。

これがしばらく使ううちに、「本気ぃ? ま、ちょうど飽きたところだから、チャンネル変えていいわ」に変わり、さらに使い込むと、「チャンネル、変えまーす。えいっ」などとデレデレ状態に変化します。

川口盛之助はなぜこのツンデレTVを取り上げたか。彼の言う「愛着主義」とは、以下のような話だ。

このツンデレなインターフェース機能が注目すべき機能であると感じて取り上げた理由を語りましょう。それは道具そのものへの愛着に通じる切り口であるからです。テレビ受像機を単なる画像配給端末、つまり水道管の蛇口のように捉えてみれば、そこでは画像の高精細さや装置の軽薄短小化などが開発スペックとなるのでしょう。しかし、そのような考え方からは道具そのものをかけがえのないパートナーとして捉える視線は生まれてきません。(略)電子技術の発展によって(略)応答パターンという内面的なソフト機能でもこの愛着をかもし出すことが出来るようになっています。たまにすねてみたり、使ううちにこなれてくるというような機能は、人間同士が付き合う時に不可避であったアナログなすり合わせの妙です。今後、様々な機器にシーン展開できうるという意味において、大いなる将来の発展性を予感させませんか?

着眼点からして面白く、また鋭い分析も交えつつ読みやすくまとまっている好記事だが、ひとつ重大なツッコミどころがある。

「なるほど愛着主義はわかりました。確かに、今後の商品開発においてそれは重要なエッセンスとなり得るでしょう。
でも、セグニティって全然売れなかったよね?

無論、様々な要因(ターゲットユーザーの設定、広告展開、販売方法、基本機能、値段etc.)が絡み合って、結果「商品が売れない」となるのだから、ツンデレTVという企画の方向性自体は実は的を射ていたのかもしれない。

だが、私にはそうは思えないのだ。

セグニティの敗因は何か、少しばかり私なりに考えてみた。
(つづく)