トミカヒーロー レスキューフォース

レスキューフォース』は何というか「引き算」なのだ。
 
企画のスタートは「災害と戦い、人命を救うヒーロー」だったろうし、その線に沿ってゼロベースで作品を構築すれば、それなりに新味のあるヒーローものとなっていただろう。
だが、実際に出来上がったものはあまりにも「ヒーロー特撮番組の定型」に寄りかかり過ぎている。その結果、「新しいヒーローもの」ではなく、「定型にプラスアルファされたヒーローもの」ですらなく、マイナスばかりが目立つ番組になってしまっている。
 
精緻なCGとプロップによるフューチャービークルの描写はある。派手でけれん味たっぷりの活躍はそれなりに見応えがあるものだ。
しかし、だからこそ巨大ロボが出てこないことに物足りなさを感じてしまう。
 
陰謀めぐらす悪の組織が登場するのでお話はわかりやすい。
しかし、組織の本拠や目的は不明確なまま、幹部3人がそこいらをウロウロしているだけで、ひたすら安っぽい。
 
戦闘員はワラワラと登場するので毎度バトルアクションの見せ場もある。
しかし、各回のゲスト怪人が出てこないので、アトラクション然としたバトルにしかならない。
 
とにかく、色んなものが足りない。

ゼロベースでとまでは言わないものの、もっと思い切りよく定型を振り払って、新たな形のヒーロー番組を構築すべきだったのではないか。とりあえず「派手だが不合理で不自然で無意味なメカアクション」「超災害の原因は毎度同じ悪の組織」「おざなりに登場してひとしきりバトルを見せるだけの戦闘員」はいいかげん勘弁して欲しい……。

でも今回とか見ると、逆の方向に開き直っちゃっていてなあ。「超災害は事実上未発生、当然ながら救助活動の描写もほとんど無く、メインは敵幹部との追いかけっこ」なんて話では、もう完全に戦隊物と同じやん。「事態は解決してるけど子供たちのためにメカの出番」なんて小手先の差別化以前にやることがあるだろう、と。

20年近くも前の「ウィンスペクター」以下3部作のほうがまだ新しく感じられるし(5月中旬から東映チャンネルでまた始まるそうな)、ロボが続々と登場するぶん「救急戦隊ゴーゴーファイブ」のほうがまだ見応えがある(これも10年前だ)。
 
放映前には、タカラ系のヒーロー玩具の流れと、トミー系のミニカーの流れとがひとつになった、タカラトミーの本格始動を告げる記念碑的タイトルになるのでは!? と期待も大きかっただけに、この番組内容そして商品内容は残念でならない。
 
あ、ただ「爆裂的に鎮圧せよ!」の決まり文句だけは絶賛に値すると思います。しらふじゃ思い付かないし、提案しても上の人がOK出さないよ、こんな怪フレーズ(笑)。戦闘終了後に指差し確認で「二次災害無し!」とやっていた『マシンロボレスキュー』も相当なものでしたが、「爆鎮完了!」はそれを超えたね(ただし面白いのは語感のみ。具体的にどのような行為を指すのか、爆裂的でないレベルの鎮圧活動はあるのか、鎮圧以外の爆裂的な活動はあるのか、承認・否認の基準は何かetc…が全く不明確で、上っ面のインパクトしかない)