プレゆとり世代との付き合い方

ゆとり世代との付き合い方」というシリーズで「ネットで調べりゃカンタンですよ」というタイトルとくれば、それは当然「ググっただけでわかったつもりかよ。これだからゆとりは…」という話だろうと思っていた。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20080417/153415/
(日経ビジネスオンライン)
実際、導入部はそんな展開を予想させるものだ。

新商品の広告出稿を検討するため、ある会社のマーケティング担当者がインターン学生に「女性サイトのリスト作って」と依頼した時のことです。彼は5分ほどで、「できたんで、メールしました」と声をかけてきました。

「本当に?」。内心では疑いながらメールを開くと、確かに女性サイトが網羅されています。有名なサイトはもちろんのこと、あまり知られていない小さめのサイトもリストアップされていました。この担当者は正直なところ、「半日はかかる」「いや、学生さんだったら1日がかりかもしれない」と思って頼んだのだからびっくりです。

「どうやって調べたの?」と尋ねると、「あ、ネットで調べりゃカンタンですよ。『女性サイト』+『リンク集』で検索ッス」という答え。彼には何でもない仕事だったのです。

「あまり知られていない小さめのサイト」のことが、この仕事において有益な情報になるだろうか? 広告出稿の検討なのだから、必要なのはずっとマス寄りの情報のはずだ。

だから「ゆとり世代は情報に到達することは得意だが、情報の取捨選択や真偽の判定、分析ができず、鵜呑みにしてしまう。そして、ネットで調べたことが全てだと思ってしまう。そんな彼らの長所をどう伸ばし、欠点はどうカバーすべきか」……そうした展開を予想していた。

ところが「ある会社のマーケティング担当者」氏は、この大雑把な作業をみて「いとも簡単に目的の情報を集めてきたインターン学生の“検索リテラシー”の高さに驚かされたのです」と驚嘆してしまう! 記事はそうして、検索についてはゆとり世代は能力が高い、と全肯定。終盤は「他方、マナーの点ではなってないところがある」と、別の話になってしまう。

なんというかそもそも「「女性サイト リンク集」検索が思いつかない35歳なんてマーケ担当者としては使い物にならない」と思うのだが、著者が想定する「一般的な30代半ば以上の会社員」の“検索リテラシー”はそのレベルなのだろう。だから、我々にはごく当たり前にみえる、そして危うげな情報収集も、この記事ではただ賞賛されるだけなのである。

この記事はゆとり世代の特殊性ではなく、中間管理職クラスのボンクラ加減を伝えてくれる、という点で有意義なものだった。そのボンクラどもと付き合わなくてはならない、ゆとり世代こそ気の毒である。



……ていうかあり得ねぇ。マーケティングは情報こそ生命線なのに、この35歳は一体、普段ナニをどうやって情報収集してるんだ? 大体、「半日はかかる」「1日がかりかもしれない」サイトのリストアップ作業ってどんなのよ? ちまちまリンク先リンク先で辿っていくのか? その発想ができる人ならまずググるだろ。ぶっちゃけ、ゆとり世代が特殊なのではなく、中間管理職がボンクラなわけでもなく、著者がものを知らなさ過ぎるのだろう。