/Zガンダム最終回

昨晩アニマックスで「機動戦士Zガンダム」最終回を観た。今さら悪口を書いても仕方がないし、だからといって悪口以外に書くことも無いので感想はさておこう。今回改めて興味深く感じたのは、後付の設定、少なくとも番組本編では一切語られなかった設定、「バイオセンサー」なるものを生んだのは何か? という問題だ。

Zガンダムが「幻魔大戦」の如きにょろにょろオーラを身にまとったのを見て、シロッコは驚愕する。
「私の知らない兵器が内蔵されているのか!?」
答えてカミーユ
「わかるまい! 戦争を遊びにしているシロッコには、この俺の体を通して出る力が!」

この会話を素直に解釈すれば、カミーユの「わかるまい」は「兵器が内蔵されている」というシロッコの認識を否定する台詞である。亡霊の力でパワーアップというオカルト現象が現に起こっているのに、シロッコはそれがわからず「兵器」という常識のレベルで理解しようとする。何故ならシロッコは死後も残るような人の心の力など信じていないからだ、だから戦争を遊びにできるのだ……くらいの場面だろう。
一言でいえば、「兵器」と「この俺の体を通して出る力」は対立項である、ということ。だからドラマ上は、Zガンダムに起きている怪現象は兵器によるものであってはならないのである。
ところがいつの頃からか「バイオセンサー」とかいう、まさに「シロッコの知らない兵器が内蔵されている」ことになった。フリー百科事典Wikipedia「サイコミュ」の項では、以下のように解説されている。

A・Eはこの時期、(略)ニュータイプの資質を有すると思われるパイロットに供与するMSにはブラックボックスとしてバイオセンサーを極秘裏に搭載していた。バイオセンサーは(略)機体のコントロールシステムの補佐を行う機能を有する種類のデバイスとして、ΖガンダムΖΖガンダムに搭載されていた。バイオセンサーはパイロットの感応波を介在としたミノフスキー通信を機体管制に用いるため、本来のサイコミュ同様に操縦者の思惟を機体挙動に直接反映させることが出来た。(略)
特にカミーユはバイオセンサーのオーバーロードによって、ビームを遮断するバリアーの形成、機体の出力増大、或いは敵機の操縦制御を奪うといった、機体内外のミノフスキー粒子の振動、或いはその干渉に起因すると思われる現象を引き起こしている。

視聴者にすら極秘で装備されていたという、AEの防諜部の優秀さを物語るエピソードだ……なんて皮肉はおこう。この設定からは、オカルト現象をオカルトとして許容できない、何らかのメカニカルな設定で説明しようとする「ガンダム」タイトルの性格が垣間見えてくる。
番組本編のドラマとしては兵器ではない。しかしそこからこぼれ落ちた設定としては兵器と位置づけられる。ドラマと設定との乖離は前作「重戦機エルガイム」から顕著だったが、こうして見ると「Zガンダム」ではさらに進んでしまったように思える。そのうえ「ガンダム」タイトル全体の設定として繰り返し語られるために、その「設定の更新」の度にドラマとの乖離が進んでいるのではないだろうか。
(つづく)