/機動戦士ガンダムAGE#7

ドンはシロッコのオマージュ、と言ってみる。

ドン・ポヤージにパプテマス・シロッコ、どちらも自らMSを駆り、己の体を張って最前線で戦っているのに、「旧国家の名の下に無益な戦いを起こし、私腹を肥やすブタどもが!」とか「いつもいつも、脇から見ているだけで人を弄んで!」と言われちゃう気の毒さがよく似てる。

……念のため、これはつまり「背後で戦争を操る者」を描けない拙さが共通しているだけであって、本気でオマージュだと思ってるわけではありません。

さて、前回を振り返ると、上で引用したグルーデックの台詞や、戦闘を白けた様子で横目に見ながらリムジンで走り抜ける描写から、ドンって人はこう、ザラム派・エウバ派の両陣営を巧妙に焚きつけ、そのうえで両陣営に武器を供与して漁夫の利を得る「死の商人」に見えたのですが……。

……あれ? 実はただのザラム派? ていうかかなり狂信的なザラム派? 商売でなく、ただ自分で使う武器を調達してるだけってことにならないか? 私服を肥やすために無益な戦いを起こしてるんじゃなかったの? それに、ドンがザラム派ならばエウバ派にも互角の力を持つ武器商人がいるはずで、グルーデックはそいつと両天秤にかけて有利な条件を引き出せばよかったんじゃないか?

ドンがザラム派なのはいいとして、エウバ派の新キャラが、昨日の決着を〜みたいな台詞を言ってたのが不思議でならない。いやその、ドンは前回リムジンで走り抜けたり、お屋敷から遠目に眺めてただけなんですが……。話がつながってなくない? 脚本家たちの間ですりあわせができてないんじゃないのこれ?

設定・脚本・演出の低質さはスタッフの能力の限界だと了解できるけど、毎度の「前回から話がつながってない感じ」=スタッフ間で作品内容に関する情報が共有できていない、という問題点だけは早急に解消してほしい。前回ドッズライフルは単にUEに通用しないだけでなく、跳ね返されて市街に被害を与えたのにフリットは今回完全に忘れてるとか、前回・前々回では完全に忘れてたブルーザーさんについて今回突然言及するとか。

細かい設定について言うと、ノーラには農業ブロックがあったのに、ファーデーンでは普通に畑があるのが気になった。娯楽でやってる農園です、と言われりゃそうなんだろうけど、ガンダムで全力疾走しても周りは人家が無いとか、「魔少年」の回の延々と続く荒野とか、ごく限られたコロニーの地面をずいぶんムダに使ってますなぁ。この贅沢がファーデーンの光の部分?

ガンダムが走る描写は、演出であるなら単に「意図不明」というだけでセーフだけど、「飛行できないという設定だから」ならアウト。上空、軸の部分は無重力なんだから、そこまでジャンプすればいいだけ。ジャンプさえままならない、という設定だとすると後々まで足かせになりそうだし、スタッフは根本的にコロニーの構造とかあるべき地理とかを理解してないんでは……。

ラーガンはもはや「死ぬ死ぬ詐欺」ですな。サンデーに掲載された漫画版がうまいことミスリードとして機能している。どうせなら出撃前に形見の指輪を女性に託す、くらいしてほしかった。

そしてタイタス。これまでの回から予想はついていたけど、やはりというか換装〜発進シークエンスは全く無し。そこが新メカの最初の見せ場なのに、スタッフは実はメカ物が嫌いなのか? と疑いたくなる。幼少期であれイイ年になってからであれ、『サンダーバード』とか、『ウルトラセブン』の「フォースゲートオープン」とか、『ゾイド/0』の「インストレーションシステムコール」とか、一連の戦隊シリーズとかに心躍らせた経験は無いんだろうか。

1、2話の頃なら「UEはどこからコロニー内に侵入したのか?」とか「UEはなぜMSには(ガンダムにさえも)目もくれずエミリーたちの乗ったトラックに向かったのか?」といったあたりの謎に、今後へとつながる伏線を見ていましたが、大体どんな作品かわかってきたので気にしないことにします。前者についてはデシルたちの組織が絡んでるのかもしれないけど、まぁ期待せず。