理科美術展2015(山脇ギャラリー)

市ヶ谷で通りすがりに山脇ギャラリーを覗いた。
http://www.rikabi.jp/event/event-10.htm
日本理科美術協会の「理科美術展2015」……って明日までかい。図鑑に載っているような資料画・標本画の展覧会です。

ところで、精巧に描かれた図鑑の絵は一見徹底した写実画と思われがちであるが、これは資料画或いは標本画といって観賞用のペン画、リトグラフィーとは異なり、あくまで学問的、科学的な説明の目的に則して描かれた、特別の表現機能を持った画である。従って標本画を描く場合、画家は標本を目の前に置き、必要な策定などをしながら描いてゆくが、標本をそのまま写実的に写し取るわけではない。先ず信用できる参考書物の記載を読み、その記載に従って数値などを合わせる。ハイライトや濃い陰影など、その個体が元来持っていたものではない外から加わったものは極力とり除いて描くので、立体感など描き表し難いことがある。こうした場合、その種の説明に関係ない所での多少のデフォルマションなどで感じを出す。

会場(及びパンフレット)の解説にはこのように書かれており、なるほどなァという感じ。
とはいえこの場はギャラリーなので、図鑑に使用するために描かれた科学的な資料ももちろんあったのですが、その手法を生かした観賞用の絵画作品も多数見られてまずは面白かったです。なかでも、キャンバス代わりにした板の木目をそのまま生かし、それを水底に見立ててリアルな魚を描き加えた佐藤忠雄氏の作品は特に印象深かった。
あるいは、絵そのものは図鑑的なんですが、取り合わせが寿司ネタの魚だったりイカ・タコだったり……なんて展示も。また、メインはやはり昆虫まで含めた動物と植物なんですが、軍服や軍艦などもあって小規模な展示ながらバラエティ豊か。
たまたま行き当った無料のギャラリーでしたが、十分以上の見応えがあってちょっと得した気分でした。