ガンダムビルドファイターズ関連書籍

カドカワの『ガンダムビルドファイターズ公式ガイドブック』(以下「カドカワ本」)を買ったけど。

ぶっちゃけ、ひと月前に出た432円(税込)お安い学研の『ガンダムビルドファイターズオフィシャルファンブック』(以下「学研本」)があれば十分だった。エピソードガイド+インタビュー+登場ガンプラ紹介――という構成でいうと『フェブリ』vol.22もあったし、
Febri (フェブリ) Vol.22

Febri (フェブリ) Vol.22

最後発の不利もあるけど、それにしても一番高いカドカワ本が一番薄味というのはどうしたものか。

以下、企画ごとに分けて簡単に3書の比較。
 
【エピソードガイド】
3書いずれもメイン企画。回ごとに分けて、サブタイトル、メインスタッフ名(脚本・絵コンテ・演出・キャラ作監・メカ作監)、あらすじ等を記載。

カドカワ本は本文があらすじ、プラス「チェックポイント」として小ネタ解説。しかしずらずらと箇条書きで書くだけでそれに対応した図版が無く(同じページ内に載ってはいるのだが)面白みが判りづらい。

学研本も本文はあらすじ。カコミ記事でその回で特に注目すべきネタを図版1点付で取り上げる。さらに「今回の名言」と「次回予告」を元ネタ解説中心で紹介している。内容はカドカワ本の「チェックポイント」と大差無いが、こちらのほうが読み物として遥かに洗練されている。さらに圧巻なのは「登場ガンプラリスト」で、図版が対応していないから資料性はイマイチだが「こんな細かいことまでよくやるなあ」と感心する。また、他の2書に無い要素として放送年月日の明記があり、細かなところにまで神経が行き届いているという印象。

フェブリは少々構成が違っていて、あらすじは概要程度、本文はライター署名での解説記事。実際に観た読者にはあらすじはさほど重要でないし、こちらのほうが読み物として面白い。ただまぁ、ともすると「作品評」になるわけで、その内容に対する好き嫌いはあるだろう。本文に加えて第1、2、6、10、15、17、19、22、23話には黒田洋介のコメントを掲載。作品に対する理解を促してくれる。
 
【インタビュー】
カドカワ本は長崎健司監督、小川正和プロデューサー、バンダイ馬場俊明プロデューサー、そして川口名人ことバンダイの川口克己氏。長崎健司インタビューは学研本にも掲載、小川正和インタビューはフェブリにも掲載されており、話はほぼ同じなので(いちいち検証はしないが本によって違うようでは困る)、肝はバンダイのお二人の話となる。当然ながら、ストーリーやキャラクターではなく、企画の進め方やデザイン発注のプロセスについての話がメインでアニメムックとしては少々異色で面白い。

学研本は長崎監督インタビュー、シリーズ構成・脚本の黒田洋介インタビューに加えて、小松未可子×國立幸の「W主人公対談」。主演声優同士だが、元々はどちらもガンプラや「ガンダム」に詳しくない同士で視点がちょっと新鮮だった。

フェブラは黒田洋介インタビュー、小川正和インタビューに加えて広瀬正志×三石琴乃の対談形式のインタビュー。声優インタビューという企画は普通だが、このふたりというセレクトが凄い。
 
【キャラクター紹介】
カドカワ本は言ってしまえば単に設定画を並べただけ。解説文は最低限で、酷いことにキャストすら書かれていない(ってあれ? ひょっとしてこの本、どこにもキャストが載ってないの!?)。A4判1ページでセイとレイジを掲載、その他のキャラは1ページで3〜4人をまとめて掲載。おいおい、マオやニルスがグレコとかカルロスとかと同程度の扱いでいいの!!?

対して学研本はきちんと「紹介」になっている。セイ、レイジには(B5判)2ページを割き、設定画に加えてカコミ4つで「パーソナリティ」を紹介。その他のメインキャラには1ページ(カコミ1つ)、サブキャラには半ページを割り当てるなどメリハリの付け方も妥当。

フェブリは全部で3ページのざっくりした紹介でメインキャラさえも立ち絵1点バストショット1点のみ。ただし紹介したキャラクター全てについて文字色を変えて「使用メカ」を書いているのが凄い。
 
【登場メカ紹介】
カドカワ本、学研本とも、前後の設定画に加えてスクリーンショットで武器を紹介。加えて、それぞれ元になったモビルスーツの設定画1点とその解説を掲載していることもカドカワ本・学研本で共通の構成。ただ、絵のサイズは学研本のほうが総じて大きくて見やすい(判は小さいのに!)。ただし、チョイ役のメカについてはカドカワ本は実に12ページを割いて(人物も含めて)、回ごとにわけて細かくピックアップ。学研本はチョイ役は全部まとめて2ページなので差別化ができている。特にモックのバリエーション紹介が嬉しい。

フェブリはメインメカに全4ページ、設定画は前向き絵のみ(スタービルドストライクのみ後ろもアリ)。設定スペックも掲載されていないが、代わりに「ベースキット」の記載アリ。いやそれ公式設定じゃないよね!? とツッコミたくなるがライターがノリノリなのはわかる。チョイ役には全4ページ。絵は小さいのだが、それぞれBF劇中でどう描かれたか解説されており、記事としてはカドカワ本より充実している。
 
【その他】
カドカワ本はガンプラ紹介に9ページを割くがバンダイの広報写真のみで単なるカタログ。イラストギャラリーとして「ニュータイプ」誌に掲載されたイラスト5点を再掲。

フェブリは念のため、160ページある雑誌のうちの一部、38ページだけ(結構なページ数ではあるが)がビルドファイターズ特集に割かれている。

まぁそういうわけで、細かく書き出すと改めて「最後発で一番高いカドカワ本が一番薄味というのはどうしたものか」との想いを抱く。学研本を既に持っていて、カドカワ本まで買うか否か悩んでいる人には「リアルの川口名人に興味が無いならスルーしていいよ」とアドバイスしたい。

カドカワ独自の「ビルドファイターズ」関連リソースとして『ガンダムエース』連載のマンガ版「ガンダムビルドファイターズA(アメイジング)」や『電撃ホビーマガジン』連載の「ガンダムビルドファイターズD(ドキュメント)」があるのに、それを利用しない…どころでなく全く触れないのも酷いというかもったいない話。例のあれか、カドカワといっても「東京ウォーカー」を作ってた編集部がやっつけましたというヤツか? ……と思うほど惨憺たる内容だった。