80年代には実在した異星人

約20年前のUFO目撃証言を新たに公開 英公文書館
3月23日15時33分配信 CNN.co.jp

ロンドン(CNN) 英国立公文書館は22日、1987年から1993年にかけて国防省で記録された未確認飛行物体(UFO)目撃証言約1200件を新たに公開した。「宇宙人に話しかけられた」という女性の報告などが含まれている。
同省は昨年から4年計画で、UFO証言文書の公文書館への移管を開始。これに合わせ、すでに1970―80年代の文書などが一般公開されている。
新たな証言の中でも「異色の報告」として紹介されているのは、英南東部ノリッジで89年、宇宙人と遭遇したと主張した女性のケース。犬の散歩中、近所の運動場で飛行服姿の男性に声をかけられた。「北欧系」のなまりで、別の惑星から来たなどと話していたという。女性は約10分間の会話で「すっかり恐ろしくなり」、あわてて帰宅した。その途中、木の向こう側から大きな光る物体が真上へ上っていくのが見えたとされる。女性は翌日、地元の軍基地にこの「遭遇」を報告した。
今回の公開では、スコットランド上空で90年に撮影されたUFO写真について、国防省が各省に異例の状況説明を行ったことも明らかになった。大きなダイヤモンド型の物体で、上空に10分間ほどとどまった後、高速で上方へ去ったとされる。メディアが写真に注目することを想定して、対策を講じたケースとみられる。
国防省は通常、こうした報告を「敵国などによる領空侵犯があったかどうか」という視点からのみ検討し、「地球外生命が存在するかどうかに関心はなく、回答も試みない」との立場を取っている。

(3月23日付Yahoo!ニュース経由でCNN.co.jp記事を転載)

さて、アニマックスで放映中の『聖戦士ダンバイン』(1983〜1984年)を観ていてひとつ面白いのは、劇中に登場する現代の日本人たちの「異星人に対するリアリティ意識」だった。
異世界バイストンウェルから人型兵器オーラバトラーごと東京に帰還した主人公ショウ・ザマは、自分の両親や警官に対してバイストンウェルの存在を説明するが、「まるでおとぎ話じゃないか」と信じてもらえない。異世界を信じない彼らが、ではオーラバトラーをどう捉えるかというと、そう、他の天体から来た兵器ではないかと疑うのである。「このショウ・ザマを自称する男は、地球人そっくりに化けた異星人ではないか?」と本気で疑うのだ。
無責任な一般市民のウワサ話などではない。警官が、軍人が、大真面目でそんな話をしているのである。
これはもちろんアニメの中の話であり、現実の警官・軍人の反応ではない。だが、この一連の描写は「大真面目に異星人の侵略を論じるナンセンス」を描こうとしたわけではなく、かなりの程度で80年代の「異星人に対するリアリティ意識」を反映しているのではないだろうか。
上に引用した記事、当の英国国防省が「地球外生命が存在するかどうかに関心はない」というのは、おそらくは当時からだとは思う。とはいえ記録された証言のほうをみれば、「地球外知性体は明らかに存在しており、既に接触した地球人も少なくない」という認識が、当時は一般的だったと推察できる。
20年余を経たオカルト界隈では、異星人はすっかり人気を落とし、それに代わるように「スピリチュアル」なるものが台頭してきたわけだが(その意味でも80年代前半に「オーラ力」をキーワードにしていた『ダンバイン』は早過ぎたといえる)、それは単に科学知識が普及したことによる変化なのだろうか?
「またかよ」と言われそうだが、米ソ冷戦下にあって、この2大勢力の対立によって地球全体を把握できた(気になれた)時代なればこそ、実感をもって異星人が語られたのではないかと思う。

UFOとポストモダン (平凡社新書)

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……うーむ、読んだはずだが覚えていない。