「映画館でビデオカメラを構える会」

映画盗撮防止法が施行されたそうな。この法律、例えば東京新聞2007年8月30日朝刊の記事の書き出しには「映画館での映画の録画、録音を禁じる「映画盗撮防止法」」とありますね。
映画の録画、録音を禁じる」と。
じゃあ、映画とは言い難い予告編やCMならOKなんだね?
……とは、割と誰でも思いつくところでしょう。いやこれがホントに「誰でも」で、どれくらい「誰でも」かというと、条文作った人まで含むほどでした。

参考:「映画の盗撮の防止に関する法律案」
法律案しか見つかりませんでしたが、ほぼこのまま無修正で「案」が取れたはずです。そこにはわざわざ、こんなふうに書かれています。

第二条
三 映画の盗撮 映画館等において観衆から料金を受けて上映が行われる映画(映画館等における観衆から料金を受けて行われる上映に先立って観衆から料金を受けずに上映が行われるものを含み、著作権の目的となっているものに限る。以下単に「映画」という。)について、当該映画の影像の録画(著作権法第二条第一項第十四号に規定する録画をいう。)又は音声の録音(同項第十三号に規定する録音をいう。)をすること(当該映画の著作権者の許諾を得てする場合を除く。)をいう。

「観衆から料金を受けずに上映が行われるものを含」むという、イヤラシイ周到さです。条文作った人間の、勝ち誇ったニヤニヤ笑いが想像できますね(←被害妄想)。つか予告編とかCMとかまで、そんなにカリカリと保護するようなものか? と。この一文にはなんというか、「本編であろうがなかろうが、1秒たりとて盗撮は許さん!」てな感じのパラノイアを感じてしまいます。

しかし、当然といえば当然ですが、映画館でスクリーンに向けてビデオカメラを構えて、しかし録画はしないのであれば処罰の対象にはなりません。ついでにいうと、上映中の録画であっても映画を録るのでなければセーフです(録音しないように要注意ですが)。
どこかのブログか掲示板で、映画盗撮防止法を不快に思う仲間を募って「映画館でビデオカメラを構える会」なんて……やる人はいませんかね?
いや、私はやりませんよ? あのCMは不快なことこの上無いし(つかそもそも映画を映画館で観ることが嫌いで、わざわざ映画館まで足を運ばせた上に、高い金を払わされ、映画館の都合でしかない上映開始時間に合わせることを強要され、ようやく始まったかと思えばクソつまらん予告編に延々とつき合わされて、その予告がようやく終わるぜーというタイミングで流れるのがよりによってあのCMだから、映画本編始まる前から「帰ろうか……」という気になる)、他の著作物に映画だけ過保護に過ぎるだろ、とは思うけど、嫌がらせをするほどの悪意は(今のところ)無いです。
大体、それで迷惑を被るのは映画会社や法を作った連中ではなく、映画館のスタッフですからね。それは気の毒というものでしょう。