プリンススカイラインとか小倉駅とか。「黒執事」

MOVIXさいたまで「黒執事」を観てきた。アニメ未見原作未読なのになんとなく。まぁ普通です。レイトショー1200円2時間で、お金も時間もムダにした感じは無い。ネタになるほど酷くなく、ただ人に勧めるほどでは無いという。

共同プロデューサーとしてクレジットされていて吹いた齋藤智裕(水嶋ヒロ)はなかなかの好演で、感情を動かさず冷笑を浮かべたまま抑揚無く話す、という恐ろしく演じにくいキャラクターをよくこなしていた印象です。どうしても「一言ひとこと噛んで砕いて話す」感じになっていますが、そこは演技力ではなく人物造形自体の問題でしょう。ゴーリキさんもまずは及第点では?

アクションは何というか「今風」の一言で片付けられるいつものアレ(不自然に高く跳んだりぐるぐる回ったりを短いカットでちゃっちゃかつなぐアレ)ですが、それはそれとして普通に見応えがあるものになっています。

話は、怪死事件の謎を追うことをメインプロットとし、並行して主人公の過去の秘密も明かされていくという趣向。複雑過ぎず単純過ぎず、「種明かし」の時には巻き戻し再生でわかりやすく説明してくれる親切仕様で、退屈もしないし疲れもしません。

ただ全体として「誰に見せたいのかわからない映画」なんですな。原作とはかけ離れた話になってるそうで、まず原作ファン向けではない(冒頭いきなり無茶苦茶な舞台設定をナレーションと字幕で説明するので「さすがマンガ原作だ」と思ってたんですが、そこが最大の相違点だそうで)。水嶋ヒロファンを中心とした女性層向けというには基本がアクション映画だからウケそうにない。さりとて「イケメンが冷笑しながらチート性能でサクサク難題解決」な映画が男性層向けとも思えない。ゴーリキさんのファン……想像もつかない。そもそも「観客の想定」が弱い映画だと思った次第。あえていうなら、三次元には珍しくメイドさんが蹴ったり撃ったり回ったりのアクションを披露するので(Vシネであるかもしれんが)メイド属性の人はそこだけ目当てに観に行ってもいいかもしれません。

個人的には、全く事前情報無しだったのでプリンススカイラインが唐突に出てきたのが大サプライズでした。どういうことだ!? とパンフレットを購入して確認したんですが言及無し。サポート協力の中に「門司港レトロカーミーティング」という名が見られるので、その伝手で借りたものなのでしょう。他にロールスロイス等の普通にわかりやすい「金持ち車」も登場。でもRRってオーナーは後席に乗る車じゃないか?
(↓1月27日追加)
フェイスブック経由で確認。ロールスロイススカイラインを貸し出したのは(有)藤壺自動車工業でした。

水嶋ヒロさん主演映画「黒執事」が公開中です。当社もロケに車を貸し出しました。映画館へ是非お越し下さい。

てっきりエグゾースト屋だと思っていたらあのフジツボとは無関係な別会社でした。
 
鉄道ネタでは、冒頭の舞台の倉庫でワンカットだけ引き込み線が映ります。北九州市、北九州フィルムコミッションが協力しているのでそっちのほうの倉庫街でしょう。私にはさすがに守備範囲外。可笑しいのが、主人公が経営する巨大企業の超高層ビルの根元が、小倉駅そのまんまなこと。ビルの腹にぽかんと開いた大穴からモノレールが発着するという駅ビルの構造は確かに未来的でカッコいいけど(http://gray.ap.teacup.com/unknown/144.html)、知ってる人が見たら笑っちゃうよね。

以下ちょっとだけ脚本絡みの感想・微バレ↓



 
途中、「主人公のいる前なのに悪玉の偉い人(伊武雅刀!)が『悪事のあらまし』を懇切丁寧に話す」というシチュがあって、「水戸黄門かよ!」とツッコミたくなったのですが、後でそれも敵の計略の一部だったと明らかになり、ちょっと感心。

ふたりの監督の一方がさとうけいいちだからではないだろうが、真の黒幕がかなりそのまんまウ□ボ□ス(伏字になってない)で、ああ今度の劇場版「TIGER & BUNNY」見に行かないとなーと思わされた。でもそのタイバニ新作、予告編とかではウロボロスがどうとかシュテルンビルトがどうとか全く触れてないんだけどひょっとしてスルー?