「おなかスッキリ 毎朝ドッサリ」

私が観るアニメ以外のテレビ番組というと基本はニュースバードで、ニュースに飽きると(何度も同じニュースを再放送するため)ヒストリーチャンネルディスカバリーチャンネルナショジオに変えるというのが毎度のパターン。ここらへんのチャンネルのCMはどうも枠で出稿する契約がないのか、どの番組でもどの時間でも概ね同じCMをやっている。NBだと以前取り上げたブシロードのCMとかね。ニュースの合間合間に、「何が何にどう効くかも言えない怪しい美容食品のCM」「イメージに振り過ぎで何が言いたいか分からない貴金属店のCM」「直接的にメリットをアピールする自動車保険のCM」と並んでプロレスラーが子供と遊んで「バディファイト、面白いじゃねーか!」とカードゲームを宣伝している…というのは相当にシュールな組み合わせのはずだが、毎日ヘビーローテで観せられているので慣れてしまった。オカダさん、な。

そういう、何度も見せられているCMのひとつが、「美爽煌茶」というお茶(健康食品)のもの。愛用者がいきなり、たかが便秘如きで「もうだめだーと思ってました」などとまるでこの世の終わりのように悩んでいるのが大げさ過ぎて可笑しい。いやもう、愛用者たちの口から次々に「カレンダーにマルを付けるんです。嬉しいからデタヨーって」とか「お世辞じゃない、お世辞じゃないです」とか奇怪な台詞がどっさり出てくるから、便秘に悩んだことの無い私も惹きつけられてしまうCMです。

何といっても奇怪な台詞といえば「みなさん、毎朝すっきり!どっさり! してますか?」「おなかスッキリ 毎朝ドッサリ」でしょう。これ、単に宣伝文句というだけでなく、薬事法の制約で「便秘に効く」と言えないためにひり出したひねり出したフレーズ。一般人のはずの愛用者も「便秘が治った」などとは言わず「すっきり」「どっさり」「素直に出てくる」と奇妙に婉曲な表現を取る。表現だけは婉曲だけど、言ってることは「飲んだらすぐに糞が出ました」なのが非常に可笑しい。

真面目な話、薬品でもトクホでもないから「便秘に効く」とは言えないのは当然として、「便秘でお悩みの方に」とも言えず、「お通じをよくする」という表現すらどうやら許されていないというのが見えてくる。CMの表現規制や、それに対応した「言い換え」の例として興味が持たれます。