読者として協力出版とどう付き合うか

んで、ちょっと視点を変えて「一読者として協力出版とどう付き合うか」を考えてみた。

まず、そもそも文芸社だけでもひと月100冊以上が刊行されているのだから、統計的に「無名の作家、新たなる才能の突発的な名作」が世に出やすい状況だとはいえるだろう。仮に、箸か棒にかかる作品の割合がわずか1%だとしても、月1冊は必ずある計算だ。

個人的に手に取る気にもならないY田Y介はよう知らんが、武村政春のように『ろくろ首考―妖怪の生物学』(asin:4835546350)を、おそらく協力出版で世に出したら、それが新潮社の編集者の目に止まり(かどうかは不祥だが)、同テーマを別の角度で書いた『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか』(asin:4106101483)が堂々と新潮社新書から刊行された、というケースもある。玉石混交の中から、玉を拾い出すことに協力出版の妙味があるといえる。

ただ、玉であってもしょせん「シロウトが書いたもの」であり、かつ「やっつけで編集したもの」だという点は、あらかじめ割り引くべきだろう。まともな完成度、洗練度は期待しないほうがいい。というか期待するほうがどうかしている。その点はあらかじめ割り引いて、その分、通常の出版では世に出にくい独創的なもの、変わった視点のもの、珍しいテーマを扱ったものが世に出やすい、と考えよう。たとえ玉と呼ぶには及ばないまでも、「そのテーマを扱っているという、その事実に価値がある」本が少なからずあるのだ。

まぁ要するに、同人誌みたいなもんである。曲がりなりにも大手出版社の本なので、同人誌よりはカオス度は低いが、一方で入手しやすいのが魅力だ。オンリーイベントなんて無いような、年に2回のコミケにしかないジャンルでしかお目にかかれないような同人誌がamazonセブンアンドワイで買えるのだから大したものである(リアル書店がお好みなら、注文取り寄せも可能です)。

こうなると「どうやって玉を選り出すか?」「どうやって独創的な作品を見つけ出すのか?」が本題になるのだが……それはむしろ私が教えて欲しいくらいだ、正直な話。ただせめて、いきさつあって無理矢理読むはめになった作品のなかからでも、人に紹介する意義のあるものは、このブログで取り上げたいと思う。つづく。

……また「つづく」ですが、『ノイズ文化論』関連の話題のほうももう一回はやる予定。