4コマオブザイヤー2016

去年に続いて今年も「4コマオブザイヤー」に参加。去年よりはだいぶ熱心な(つっても実感で前年比1.2倍くらい)4コママンガ読者になった気がします。
昨年【4コマオブザイヤー2015】
http://4oty.net/2015/
http://4oty.net/2015/user/kawada0zo
http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20151209
 
今年【4コマオブザイヤー2016】
http://4oty.net/2016/
http://4oty.net/2016/user/kawada0zo
 
◆新刊部門◆

「ヨルとネル」 既に十分話題になっている作品だが欠かすわけにはいかない、これこそがオブザイヤー。こびとの冒険という絵本的なワクワク感、漫才のような可笑しな掛け合い、時おり差してくる不穏な影そして終盤の……。これらが渾然一体となり4コマのフォーマットに定着している。
 ポプテピピック 既に十分(以下同文)。約束事なんてまるで無視した縦横無尽の大暴走。商業作品は考え過ぎて描いている感があった大川ぶくぶ氏だが、何があったか色々解放されたようだ。これぞ本来の切れ味!
 
リトル・リトル・アリス (1) (まんがタイムKRコミックス)

リトル・リトル・アリス (1) (まんがタイムKRコミックス)

「リトル・リトル・アリス」 『きららキャラット』連載ではこの作品を選出。変態と狂人、そして大破壊に彩られた超絶ハイテンション・コメディ。どんな導入からでも超速展開で乱戦になり、毎回血の雨が降る。それでも露悪趣味に陥らないバランスが巧い。どこか全盛期の浦沢義雄脚本を思わせる作品。
 「ふたりでひとりぐらし、」 非キャラットきらら系ではこちら。作品の方向性が少々見えづらいが、「大学とはどんな場所か」を伝えつつ、それを有能引きこもり男との対照で際立たせることが核心とわかると俄然面白くなる。…まぁそんなことより黒髪&巨乳&眼鏡&セーラー服の残念美人withバモスホンダが肝なんですが。

あと、disってると誤解されそうだからあちらには書かなかったが、ある重要な設定が連載途中の思いつきで追加されたとしか思えない(だって2話に高校時代は10時に寝てた、深夜アニメはジャンル自体知らないって描写があるんだぜ?)ことも高く評価している。ああ、マンガってこれくらいアバウトでいいんだ〜という心地よさ。
 

きょーだん! 1 (アルファポリスCOMICS)

きょーだん! 1 (アルファポリスCOMICS)

「きょーだん!」 教祖を目指すJKとそれを取り巻く変人たち。コミュ障の小説書き、科学信奉者、ロックお嬢とみな主役を張れるほどキャラが濃い。唯一マトモなツッコミ役の陸上少女はガチ百合で、甘くて苦い恋愛ストーリーを背負う。みな可愛い。とにかく可愛い。12月に【4コマオブザイヤー2016】投票対象作品リストが発表されるまで存在すら知らなかった、己の不明を恥じる傑作。
 
てな感じで新刊部門は版元でいうと「芳文社2、竹書房1、その他の老舗出版社1、新興出版社1」で、上手くバランスが取れたじゃないかと自画自賛
 
◆既刊部門◆ 
まちカドまぞく (2) (まんがタイムKRコミックス)

まちカドまぞく (2) (まんがタイムKRコミックス)

「まちカドまぞく」2巻 1巻以来の細かく張られた伏線が収斂され、ある人物の意外な現状が明らかになり、主人公二人の関係の進展も描く…という極めてドラマチックな要素を備えながら、ギャグとしての面白味も高レベルで維持している驚異の第2巻。この後も含めて期待大の作品。
 NEW GAME!」4巻 TVアニメがまず文句の無い完成度でファン層を広げたのではないか。出版社側の集中刊行戦略もあり、今年最も波に乗った感があるタイトル。投票対象が3巻もあって悩まされたが、青葉の成長と目標との距離をほろ苦く描いた4巻に一票を投じたい。
 「ばーどすとらいく!」2巻 日常系4コママンガと、地球外知性体ファーストコンタクトSFとの絶妙な融合。敵側の新キャラ登場で一段と盛り上がるが惜しくもこの2巻で完結。とはいえ、種族を超えた友情の描写や「アレが伏線かよ!」の構成の妙には十分以上の読み応えがある。
 
きょーだん! 2 (アルファポリスCOMICS)

きょーだん! 2 (アルファポリスCOMICS)

「きょーだん!」2巻 2巻はさらに濃ゆい新キャラが投入され、ギャグも百合ラブ要素もパワーUP。この種のマンガには珍しく、短い間に登場人物たちが少しだけ、しかし確実に成長していくのが好い。登場人物間の関係の構築も巧妙で、ギャグの部分とシームレスで青春物語が展開されている。
 
ゆるめいつ 6 (バンブーコミックス)

ゆるめいつ 6 (バンブーコミックス)

ゆるめいつ」6巻 この設定でこのシュールな空気。「永遠に続くモラトリアム」と言うとちょっと羨ましいが「永遠に続く浪人生活」は間違いなく地獄である。(コピペ)
 
既刊部門となるとやはり『きららキャラット』連載が多めに。しかしその枠内で「今後さらなる期待がかかる『まちカドまぞく』、惜しくも終了の『ばーどすとらいく!』、既に十分にメジャーな『NEW GAME!』」とそれなりにばらけたと思う。「きょーだん!」はあえてこちらでも選出。「このマンガを面白がれる読者にちゃんと届いていない」感じがもどかしいため。これらいずれも強いドラマ性を備える4作品へのカウンターが「ゆるめいつ」。ゆるい、何も変わらないということを作者が自覚的にコントロールしている面白さと闇がある。