今木商事版『ビーストウォーズメタルス』

ビーストウォーズメタルス』本放送当時、『コミックボンボン』誌で連載されたマンガ版。当時は単行本未刊行で、一冊にまとまるのはこのKindle版が初となります。基本設定や大まかなストーリーはアニメ版をベースとしているものの、キャラ付け等は強く独自色を出しており、全体にハードなムード。アドリブ芸が人気のカギだったアニメ版のイメージが強いとギャップに驚くかもしれない。なかでもアニメ版では「今どきカセットテープに変身!」が何より印象深いジャガーが、こちらでは残虐非道の限りを尽くすカルト信者的なキャラとなっておりインパクト大。主役のコンボイも、当時の『ストII』人気を反映してか「猩々剛連撃」などといった技で肉弾戦を繰り広げていく。また、エアラザーが(元のアメリカ版の設定に戻って)美少女として描かれているのも特徴。そのエアラザーのデザインがメタルス版だったりと、玩具版の設定やギミックが細かく反映されているあたりがマニアックな面白みとなっています。

難点は、まず当然とはいえアニメ版のあらすじやキャラクターをある程度把握していないと判りづらい、ということ。逆にアニメ版のファンは、ラットルやチータス、パタパタ犬といった人気キャラの出番がほとんど無いことに不満を感じるかもしれません。とはいえ、今になってまとめて読めるということ自体が奇跡的な作品であり、『ビーストウォーズ』ファンには一読をお勧めします。