ビルドファイターズトライの何が酷いのか

次回以降も見続けるか微妙になってきたので16話の感想をメインに総括っぽい感想を書いてみる。要点は「競技を作品の中心に据えるなら、そのルールやレギュレーションに対して誠実であれ」という話。

まずトライオン3。合体ロボだからダメ、スーパーロボットだからダメなのではなく(こちとらスタースクリームを作ってますし)、6話でわざわざ時間を割いて「合体・分離はOKだけどその場合は全部一人で操縦してね」「通常は3機1チームだけどモビルアーマーは1機だけよ」とルールを明言しているのに、それを反古にしているからダメなのよ。メガネは「意味なんて無いですよ」と言っていたけどそれどころじゃなくて圧倒的に不利だろ。単純に言って戦力が3分の1になるんだから。(つーかメガネよ、オマエはビルダー目線で「合体ギミックを組み込みたい、披露したい」ってロマンを汲む立ち位置じゃないのか?)

合体・分離OKのルールを劇中に生かすならミナト一人で操縦しろって話だし、「MAは1機だけ」ルールのほうを生かすなら合体するとサイコガンダム級の巨人機になるとでもすりゃいい。どっちにも生かさないならそもそもルールを出すな。ボカしておけ。

んで後半のポータントの話。主人公機のパワーアップあたりからチラチラ出てきたけど、「粒子特性」だの「粒子変容」だのがなんで今さら決定的なファクターになるの??? BFの記憶を頭から消してBFTだけで観たら、何を突然言い出したのかサッパリだぞ。BFT前半では全くと言っていいほど触れてなかったんだから。ていうか、ここにきて粒子云々を言い出すのであれば初期の段階から「全くの初心者でまともに操縦できないはずのセカイが、自身の格闘スキルを反映させて勝ちまくり」の理由付けにでも使っておけよ。

そして毎度のツッコミどころダメージレベルの話。台詞では「レベルAだから」云々と端々に出てくるけど、実際の試合後の描写はレベルAがいかにシビアかを伝えてくれない。そりゃそうだよ、全国大会の前に主人公機の大破〜修復イベントをやっちゃったんだから。なんでこう物語の段取りが悪いんだ?

作り手(および擁護派の視聴者)はたぶん、こういうのを枝葉末節だと勘違いしているのだろう。そうじゃない、これが根幹だ。作品内の競技のルールは作品自体のルールなんだよ。野球だのサッカーだの、現実の競技を題材にしたアニメ・漫画では、ルールに照らしてあり得ない展開は許容されないだろ。現実にない競技はそれ以上にルールに厳格でなきゃならんのよ。だって、作り手が自分らの勝手で作るルールでしょ? なんでそれが守れないの?

とはいえ、そういうルールの窮屈さから作品を解放する方法もある。ほかでもない無印「BF」がそれをやっていた。ひとつは「劇中の悪役が自分の都合でルール(ないし競技内容)を変える」、もうひとつは「優劣を決定づける要素が不明瞭な段階から始めて、その謎を解くことを物語の縦軸にする」だ。

振り返ればマシタ会長が果たした役目は結構大きい。あるいはウォン・ユンファ、はたまたギロチ。この種のキャラは作り手にとっても使い勝手がよく便利だろうに……。マシタ会長がいたからこそ二番煎じができない辛さもあろうが、だったら作り手が自ら決めたルールに誠実であれば良いだけ。

プラフスキー粒子の設定は「BF」のときにもユルユルで、放映当時にはさんざん文句を書いたけど、それでも粒子の謎と使い方がストーリーの縦軸だったからギリギリ許容できた。それが「BFT」ではストーリーと無関係で、設定の詰めの甘さだけを受け継いでいるから目も当てられない(ていうかヤジマ製のバトルシステムは粒子含めてPPSE社製と違う、という言及があった気がするんだが)。

積プラが部屋の隅で山を成している人間として、ガンプラを作るモチベーションを得んがために見続けていたけど全然ソノ気になれないし(そこが「BF」との決定的な違い)、「最終回までにどう決着をつけるのか」が気になる物語上の要素もないので(セイを筆頭に「BF」キャラの去就を別とすると、あとは次元覇王流の師匠が何者かくらいだけど、2クール目に入ってもなお本人は影すら見せないのでストーリーの本筋には絡まないのだろう)、もういいかな〜? という感じになっている。