昭和13年の鉄道省の観光ポスター

もういっちょ、「美少女の美術史」の話。といっても美少女とは関係無い。展示作品の中で最も気になったのは、実は「滑れ銀嶺 歓喜を乗せて」(榎本千花俊)というポスターでした。要は「スキーをしに雪山へ行こうよ!」という鉄道省の観光ポスターなんですが、これが1938年(昭和13年)のもの。日中戦争は既に開戦していて、対米関係も緊張度を増していたでしょうに、天下の鉄道省が鉄道の観光利用を訴える程度にはまだ平和だったんですねえ。

それとこのポスター、「鉄道省」と書いてある。「省道鉄」でなく。
http://www.kotsu.or.jp/bp/root/wp-content/themes/jta_template/lib/lib_10.html
ざっくりググると、昭和ひとケタのポスターには「省道鉄」と書かれているものがあって、いつ・なにを理由に「鉄道省」となったのか興味がもたれるところです。

鉄道関連のネタではもうひとつ、高畠華宵の「光」という作品。背景として上野の「地下鉄ストア」ビルが描かれていました。ていうか美少女と、その周りのバラと、背景となる夜の「地下鉄ストア」ビル以外何も描かれていないのです。当時このビルが(というか大時計が)画題になるほどのランドマークだったとわかります。