「美少女の美術史」展

静岡旅行の話。

そもそも静岡くんだりまで足を運んだ第一の理由は、静岡県立美術館で開催されていた企画展「美少女の美術史」であったのだ。
http://bishojo.info/

「美少女」は、美術、漫画、アニメ、映画、文学、芸能など様々な分野に登場する、現代日本文化における特徴的なモチーフです。

「少女」という概念が一般に定着したのは、近代的な学校制度の整備により女学生という身分が生まれ、また出版文化の発達によって少女雑誌文化が花開いた 20 世紀初頭とされています。

しかしこれ以前にも「少女」にあたる若い女性は美術に表現されていました。

本展覧会は、「美人図」が盛んに制作された江戸時代から、「少女」が誕生した近代を経て、「美少女」が日々メディアをにぎわす現代にいたるまでの様々な少女のイメージを探索し、私たち日本人が少女という存在に何を求めてきたかを振り返るものです。

出品作品は江戸の花ともいうべき浮世絵から、近代に隆盛した美人画、少女たちの心をとらえた叙情画、さらには戦後文化を象徴する漫画やアニメ、フィギュアといったキャラクター文化、そして現代社会における少女イメージを表したアート作品まで、多岐にわたるラインナップとなっています。この展覧会が、鑑賞される皆様に様々な時代、分野の文化に触れる機会となることを願っております。

明日から3館目、島根県立石見美術館で始まるというから、このタイミングで静岡県立美術館で見た際の感想を上げておこう。あ、念のため私が行ったのは11月13日ね。ひと月前の話をなんで今さら? とか言うな!
 
なお、巡回展とはいっても開催される(開催された)美術館は青森・静岡・島根の3館のみですが、図録はamazon等でも購入できます。

美少女の美術史 -浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる

美少女の美術史 -浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる"少女"のかたち

 
さて感想ですが、まぁまず行った人のたいがいが思うだろうけど、テーマごとに近世から現代までという展示順になっていて、ファインアートからアニメまで一緒くたに扱っているので少々面食らった。とはいえ、ファインアートといわゆるサブカルチャーを同じ水準で捉えようという狙いはかなりの程度体現できたのではないでしょうか。

特に目を引いたのは、チラシでもちょっと気になっていた「お前さんうそだったんだね!」の、「怨霊血染めの十字架」。誰の作品かと思ったら林静一だった。静岡での人気投票では1位になったそうで。

その他ファインアートでは島成園「祭のよそおい」、大衆寄りの作品では便箋用のイラストだったという高畠華宵の「楽しいハイキング」あたりがお気に入り。マンガでは松本かつら「?(なぞ)のクローバー」(なんと昭和9年に既に覆面の少女剣士の物語があったのだ!)と、吾妻ひでおの「ななこSOS」(笑)。

アニメ関係で気になったのは、「戦う少女〜魔法少女」をひとつのテーマとしながら「プリキュア」のみならず「セーラームーン」も無かったこと。原作版も無かったので講談社の意向かもしれない。「まどマギ」は魔法少女の到達点という位置付けながら展示はFigmaのみという微妙な扱い。ただ、Figmaのみといっても5人そろって魔法少女Verと制服Ver(まどかはアルティメット)の並びの10体揃いで、壮観ではあった。……ただまぁ、身も蓋もないけど個人的に見慣れてるし、そもそも量産品だしねえ。このあたりで一番の見所は、わたなべひろし・けいこの「ミンキーモモ」。

そうそう、ツイッターで「村上隆へのヘイトが高まったくらいだった」って感想書いてる人がいたけど、あの「シックス(はぁと)プリンセス」ってぶっちゃけ、東映からプリキュアの使用許可をもらえなかった代用品で、要するにパチモンとして扱われているんだから「ザマァみろ!」とむしろ溜飲が下がる話でしょう。
つまりこういう↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%99%AF%E5%B1%B1%E9%81%8A%E6%A5%BD%E5%9C%92