宇宙船と宇宙機そしてモビルスーツ

以下は個人の思い付きであり現実の科学技術用語がどうであるかも、ガンダム用語がどうかも確かめていないです。あらかじめ念のため。
 
スターウォーズ』のXウイングでも『ヤマト』のコスモゼロでも、はたまた『グラディウス』のビックバイパーでもいい。宇宙戦闘機と世に言われるものは、どうやら「宇宙船」ではないらしい。さて、これら宇宙戦闘機……「宇宙空間を高速で移動する乗り物」を、単に「姿かたちが大気圏内を飛ぶ戦闘機に似ているから」以外の理由で「宇宙船」と峻別できないだろうか? 何か明確な定義は無いものか。

搭乗の際に宇宙服の着用が必須なのが宇宙機
内部で宇宙服を脱ぐことができるのが宇宙船。

うむ。案外すっきり定義できた。

宇宙船で最小のものといえば「宇宙服」である。気密・与圧、保温、酸素供給、対宇宙線防護、その他もろもろ。宇宙服は、人間が宇宙空間に飛び出すのに必要な機能をひととおり備えている。

さて一方、戦闘機を操縦するとなると、大気圏内であろうと耐Gスーツの着用が必要だ。宇宙でもまず同様だろう(ここで深く考えると「そもそも宇宙戦闘機っていらなくね?」「ありえなくね?」という話になるのでスルー)。ただ宇宙の場合、被弾時や脱出時を考慮すると、耐G機能しかない服ではなく「耐G機能を備えた宇宙服」を着用して搭乗する、と考えるのが自然だ。

そうなると、搭乗する乗り物本体にまで、気密・与圧、保温、酸素供給etc.の機能を持たせる必要はない。そうした機能を削ぎ落とされた、「宇宙船」と呼ぶに十分でない乗り物は「宇宙戦闘機(宇宙機)」と呼ばれ、「宇宙船」と峻別されることとなった……。
 
宇宙船と宇宙戦闘機(宇宙機)の違いは、まずこんな感じだろう。

ここでフト思い出すのが『機動戦士ガンダム』のシャアだ。ノーマルスーツ(宇宙服)を着用せず、いつもの軍服のままモビルスーツに乗って宇宙で戦っていた。つまりMSは、先の分類でいうと「宇宙機」ではなく「宇宙船」なのである。いや、宇宙船というよりも宇宙服であり、その機能を備えたまま全高18メートルにまで拡大した存在だ。だからモビル"スーツ"なのだ。

……なんて話は今さら感があるので、別の設定についてまで妄想を膨らませてみよう。相当の戦果を上げたはずのリックドムが、それでも「つなぎ」扱いだった理由もそこにあると考える。元々地上用MSであったため、宇宙船の機能を持っていなかったからだ、と。

ザクやゲルググでも、ノーマルスーツを着用して搭乗するのは同じだから実際の運用には違いは無かったはずだが、ジオンの兵器は(イスラエルの例えばメルカバがそうであるように)「搭乗者を生きて返すこと」を常に重視して開発されており、リックドムの如きは不本意な存在だったのだろう。

ただしガンダムのほうには、コアファイター=宇宙戦闘機のコクピットがそのままMSのコクピットになるのだから、宇宙船としての機能を備えていたとは想像し難い。実際、ノーマルスーツを着ずに宇宙に出たという場面は無いはずだ。

あー。ええと、マァそこはそれ、ジオンと連邦とで設計思想が違うのだ〜、ということでひとつ。いやホラ例えば一年戦争直後、ジムに乗る機会を得た元ジオン兵がそのサバイバビリティの低さに驚き、「なんでこんなのに負けたんだ…」と悔しがる、なんてドラマも妄想できるじゃないですか。ねえ?