2012年最後のエントリは恒例の「謎のリスト」。去年一昨年のほうがむしろイレギュラーではありましたが、それにしてもわずか4冊というのは少々寂しい。
超能力が飛び交い
式神が入り乱れる、謎の
新興宗教と
自衛隊特殊部隊員との人知れぬ壮絶な戦い! かと思いきやバトルシーンがほとんどなく、主人公とヒロインとのロマンス(そしてヒロインに横恋慕する敵ボス)が物語の核だった。この感覚はあれだ、結局第2期も最後まで観てしまった「
緋色の欠片」と同じだ。女性が書くと(もしくは女性向けに書くと)こうなるものなんだろか。
また、これ一冊で潔く完結しており、話がきちんと締めくくられているのは好印象なのだが、続編とか考えなかったのだろうか?
オペラ『
フィガロの結婚』の解説本。これ読むまで「
フィガロの結婚」がどんな話か知らなかったのだが、なんというか、こんな糞くだらない下世話な物語がどうして古典として生き長らえてるんだ? としか言いようが無い。無論それは、解説書を難じるべき筋ではないのだが。
よくわからないが
紀伊国屋書店の創業者がモデルだという戯曲。ダメな夫をしっかり者の奥さんが更生させる話……のはずなのだが、夫に命じられるままに他の男と不倫関係に陥り、そのために夫や子供とは別居することになり、別居している間に夫のほうは事業で成功を収めていた……というストーリー。つまり、奥さんがしたことと夫の成功とがまったく無関係という、何が何だかさっぱり因果がわからない話だった。ただ、ディテールや人物造形は巧く、全く退屈せずに最後まで読み通すことができた。
喜界島、といっても水泳部からレンタルしている会計ではない。南島のほうの喜界島を舞台とした短編小説集。太平洋戦争直前の頃の話で、いかにも南島らしいのんびりムードを保ちつつ、そこに「非常時」のイヤな空気が近づく感じをよく描いています。死んだ人の魂が流れ星となって落ち、貝に入って真珠になるというロマンチックで哀しい物語「ミツコの真珠」、土着の文化が本土では恥ずべきものとなる哀しさ(がわかっていない老婆の悲しさ)を描いた「ハジィチ哀しや」がお気に入り。