週刊少年ジャンプ07.03

「見た目小さい子供の主人公が、実は破格の力の持ち主で、お姉さん系の美女をパートナーに連れて、巨大な敵に立ち向かう、ていうか圧倒的に勝利」
3本とも同じやん、新連載。
ピンポンとハンドボールという地味めなスポーツ漫画でワンセットとか、ToLOVEるエム×ゼロが同期とか、新連載作品を似たような系統で揃えるのがジャンプの戦略なのかもしれないが……それって何か有効なのか?

重機人間ユンボル
タイトルから感じられる雰囲気どおり、ジャンプ漫画の(というかヒーロー物)の一典型でありながら、どこか冷笑的な皮肉を隠し味に秘めており、武井宏之健在を強く感じさせてくれた。終盤の「シャーマンキング」のようなやり過ぎに陥らなければ、そこそこ面白く続くのではないでしょうか。
以下は「シャーマンキング」最終回についての私の感想(04.8.30)。

元々は、ジャンプ系バトルマンガのフォーマットをなぞりながら、そこへ「ユルい」に代表されるアンチジャンプイズムを乗せたことが本作の面白さでした。
ドライな死生観も、死んで盛り上げて後で安易に蘇る正統ジャンプ系諸作品へのあてこすりなのでしょう。

それはそれでよかったのですが、トーナメント中盤あたりからフォーマットにまで異議をとなえ、逸脱し始めたことが問題だと思います。
そのために、読者が安心して面白がれるトーナメント戦は有名無実化するわ、本来なら山場となる因縁の対決やビッグバトルはあっさり終わるわで、展開が平板になってしまった。
前述のように、登場人物が死んでも盛り上がらないのも痛い(なのに何度もやるし…)。そのうえ色々な状況が並行していて、物語の全体像が俯瞰できない。
一方、観念的な新設定と屁理屈は増えて、読者の理解を拒んでいるのではないかとすら思えるほど。
にもかかわらず、作者が描き飽きてる感じはしない。このギャップが最大の問題だとみています。

まぁ「みかんのおいしい季節になりました!」は結構だが、モリモリ食べるもんじゃないだろ、と(苦笑)。

神力契約者M&Y」
似たり寄ったりの新連載3本の中では、舞台が現代日本狂言回しが平凡な少年ということもあって、最も明快な作品。それは一面、イマイチ没個性的とも……。読切版に比べて、いわゆるサービスカットが減ったのは吉か凶か。何はともあれ、新人の初連載なので一応応援している。

ラルΩグラド
ジャンルを「ネオ・クラシカル・ファンタジー」と命名したい。90年代前半あたりに角川書店が中心となって粗製濫造されたゲーム系ファンタジーマンガを思い出すから。

魔人探偵脳噛ネウロ
パスワードの謎解きや春川〜HALの動機などは、正直「まぁこんなもんか」だったが、最後の1頁は見事。ネウロの視点を持ってくることで、人工知能でしかないHALもまた人間なのだ、と強く印象付けてくれた。とうとう日付が……。

P2!
この段になって眞白主人公化!? ヒロムに対する立ち位置が微妙なキャラなので、というかこれまで描かれてきたヒロムとの関わりがこの急展開につながっていないので、かなり唐突という印象。
ただ一方、普通に考えれば練習試合に出られないヒロムを傍観者にしないために、別の舞台を用意して才能の片鱗を描写するあたりはなかなかに巧妙だ。舞台の都合で乙女を出せない間、代わりのヒロインを立てるというあざとさももちろん好きだけど(笑)。