週刊少年ジャンプ#04.05

ワンピースが10周年を迎えるそうだが私の興味は10週を迎えられるかどうかの作品に向けられている。
まず、さすがに2度の打ち切り経験がある作家は違う、と唸らされるのが武井宏之重機人間ユンボルだ。第1話のラストが「いきなり姫!」なら第2話は「いきなり強敵!」といった感じで、とにかく序盤から盛り上がる要素を出し惜しみせずに投入している。かつての王国がどんな国で、ゲンバー大王がどんな暴君で、ユンボルとはどんな存在なのか……それらの説明はそこそこでいい、序盤にはまず読者を惹きつける為に「いきなり山場!」が重要だ、とわかっているのである。
ただ、説明をスッ飛ばし過ぎで、クライマックスで何が起こっているのかよく分からない、という点は欠点として指摘すべきだろう。一体、腕のショベルでどこをどう掘削して(どこにまでその力が及んで)、水の流れをどこにどうやったのか? 地図を一見しただけではどちらが支流かすらわからないし、どちらであれどこにバイパスを作ったのか全くわからないのだ。まぁ、要するに「腕がでかいショベルになって街は助かりました」であり、絵的にはそれで充分ともいえるのだが。
何はともあれ、説明台詞ばかりなのにそれでも何が起こっているのか分からないラルΩグラドよりははるかにマシだ。いやもう、既に4話目なのにまだ言い足りないのか、とうんざりするほどの説明の山、山。しかもその内容、今後の物語にどう生きるのかと必然性に疑問を感じる「設定」の提示でしかない。
一応、新しい仲間(?)が加わるというイベントを主体とした回なのだが、救出にあたって何が制限になっていて、それをどう解決したのか、説明台詞と描写とがまるで噛み合っていない。「RPG序盤の小イベントをひとつクリア」をそのまま絵にした感じ。いくら名手・小畑健が作画を担当しようと、原作者が素人ではまるで話にならない。
一方、立ち上がりは同様に説明ばかりでもっさりしていたものの、3話目でようやく大状況が動き始めた…かな? と思えるのが神力契約者M&Y』。1話目で主人公2人の能力の説明、2話目で社会との関わりとモチベーションの説明を済ませて、この3話目から中ボス級の敵との戦いを中心にした連続話に移行する模様。味方側の新キャラについても、既に登場している3人の誰とも絡められる、という使い勝手の良さなどは意外に練られているように思えた。
もっとも、現状では物語上での見せ方が弱く、登場人物による「何だこの人間関係!?」というツッコミが、そのまま作品に対する読者のツッコミとして適用できてしまうのだが……。
立ち上がりが気になるこれら新連載陣に対して、興味がもはや「残り数回で話をどうまとめるか?」に移行しているのが『P2!』。いささかの苦しさはある展開ながらも、ヒロムが試合に出るまでの筋道をきちんと立てているのは好印象だ(これで試合に出る前に連載が終わったら相当に悲惨である)。眞白のエピソードとヒロムの才能の片鱗とがきちんと一本の話によりあうなら、この流れのまま終わってもいいかなと思うが、さてどうなることやら。
もうひとつ、どうも黄信号が灯っているらしい作品が太臓もて王サーガ。まぁ一話完結のギャグマンガだし、どう完結して欲しいという思いはこれといってない。ドラゴンガールも元よりその場しのぎ的なネタだったしな。ただ願わくば、冬のうちに卒業式をやるはめになったら『トライダーG7』最終回に言及して欲しい。また、そうした流れで冬のうちに桜を描くことになったら『コメットさん☆』最終回に言及して欲しいものだ。

……趣向を変えてまとまった文章にして書いてみたら、妙に長くなった上に読みづらくなっていいとこなし。他には、ええと。
魔人探偵脳噛ネウロ
パスワードが「POE/Peace On Earth」だったら、俺は心配するのを止めて電脳ドラッグを愛するようになるぜ! というのはネタ半分だったのだが(06-11-20付)、今回もまた微妙なキューブリック臭を感じるのは私の思い過ごしだろうか? ヒグチが見せられたビデオのBGMはやっぱり第九なのかな〜とか……。