「眠れる森の魔女」

という演劇を観てきた。ゆーりんプロ制作、内幸町ホール、前売りで4000円。同じ演目でプロデュース公演と新人公演があるうち、私が観たのは新人のほう。

ふだんは演劇なんて公演のチェックすらしてない私が何故行ったのかというと事の経緯は少々複雑で、3カ月ほど前のこと。「妖怪百姫たん」の鬼童丸はいいキャラだなー…おおツイッターに早速イラストあげてる人がいるぞ☆付けよう…うわっお礼のツイートだよまめな人だな…って中の人だー!? てな感じで声優の杉山里穂さんをフォローしていたら舞台があるというので行ってみた、という次第。はい、ただのミーハーです。

普段は映像(アニメ含む)しか観てないから、演劇の一回性・同時性……平たく言えばライブ感がまず新鮮だった(そこからか)。いや、だってカット割とかカメラワークとか無しで2時間ぶっ通しなんだよ!?(そこからか!) 映像ならフレーム外になるような隅っこの登場人物も動き続けているあたりも面白かった(そこからか!!!) 映像ソフト化があるにしても、このメンツでのこの公演はこれが最後だそうだから、その一回性というか、このとき限りという儚さが何だか不思議な感じ。

あー、一方で「悲しみに打ちひしがれている」みたいな心情描写は難しいんだなーとか(言葉に詰まっていると観客に伝わらないからね)そういう難しさも感じたりした。

えーと、プログラムには役者さんの顔写真が並んでいるんですが、見終えた後で改めて開くと、魔女とかボケ老人とかボケ老人が普通にイイ男なのでギャップに驚く。この舞台以外ではいずれも知らない人だからなんだけど、それでもこの先何かの機会で目にしても「ウホッいい男! ……でもこの人、『魔女の中の魔女』なんだよな……」とか「この人、若くないツバメなんだよな……」とか、そういう先入観で見てしまいそうで怖い。名前を覚えていられる気がしないからここに書き残しておこう。敬称略で魔女=グータ=山端零、ボケ老人=宰相=中野光貴、ボケ老人=ツバメ=高祖正浩です。あと、役回り的には目立たないんですがアトスの眞對友樹也がイイ声してて印象に残った。プロデュース公演でも同じ役で出演しているのでそれなりのベテランぽい。

杉山さんのローラは役回り自体は非常に重要なのに出番が短いのが残念。舞台の上にいても眠っていたり(笑)。でも剣戟は凛々しかったし、最後の「もー!」が可愛かったりで見せ場は多く、今後の活躍にも期待されます。基本は声優の仕事メインだろうけど、既にCMの仕事があるとかで、これからどこへ向かうのかも楽しみ。

脚本は……。舞台用の脚本の約束事とか制約とかの心得が無いので、まずそこから勉強する必要があるのだろう(私が、ですよもちろん)。突拍子の無いナンセンスのお笑い要素かと思いきやそれが後々伏線として生きてくる、というのは見ている間は「おお」と思ったけど、あれはそうではなくて「最終的にここでこうする必要があるので、そのための要素をあらかじめ先に出しておく」なんだろうなぁ(金のしゃちほこの贈り物とか、婚礼の儀がアラビア風の衣装だったりとか、そこらへん)。

映像作品とか小説・マンガであれば、世界設定をもうちょっと練り込まないと…とか言いたい部分もあるのですが、「観客にわかりやすく伝わる」「観客を途中で飽きさせない」こと等を優先するとあんな感じになるのでしょうね。ただ人魚姫のぞんざいな扱いはもうちょっと何とかならなかったか……とは思う。