「俳句 −十七字の世界−」第3週

3週目。芭蕉の作品を題材に、俳句の誇張表現について細かく具体的に見ていく。17字という文字数を決められた俳句を扱う講義なのに、動画の時間がまちまちなのが紺屋の白袴的で面白い。
 
第1節、俳句の面白みは「誇張」、英語ではHyperbole……「ハイパーボレア」!? クトゥルフ神話のあの大陸名、Hyperboreaは誇張のもじりだったのか? ギリシア神話には「ヒュペルボレイアス」Hyperboreiosなんて民族が出てくるそう。しかしLとRの違いがあって、ネイティヴはそこで全く違うと感じるのかも。わからん。
 
第2節は「塚も動け わが泣く声は秋の風」が面白い。先生は「わが泣く声は秋の風」を基底部、「塚も動け」を干渉部として解説しながら、

句全体の意味をはっきり方向付けているのはむしろ「わが泣く声は秋の風」のほうではないか、だから、こちらを干渉部と見て、短い「塚も動け」を基底部と見ることもできそうです。

このように、どちらが基底部か干渉部かはっきり決めかねる場合も間々あります。

と言う。いやいや、そんなこと言い出したら「基底部」「干渉部」に分けて読み解くというメソッドそのものの有効性が危ういよ。
……と思うけれど、しかしこういう、理屈が通っているようでどこか「言った者勝ち」の隙だらけなのがまことに文芸理論らしい、実に良い解説です(川本先生のマネ)。

それにしてもまぁ、芭蕉の誇張表現は大げさで、なんというかマンガみたいですな。俳句って全般的にこういうものだったのか?