『攻殻機動隊1983くらい』ってどう?

宇宙戦艦ヤマト1966くらい」が話題になっている。

ヤマト講座の第2回で「ヤマト以前は宇宙船といえばロケットか円盤だった」みたいな話をしたけど、ヤマトでのデザインの変革がなければ、アンドロメダだってこんなんだったかも知れないわけで。ビームも穴から出るもんじゃなかったし。
http://togetter.com/li/525598

このまとめがアタマの隅にあって、さらに日本映画チャンネルで放送された劇場版『クラッシャージョウ』(1983)とアニマックスの『攻殻機動隊S.A.C. SSS』(2006)を続けて見て思いついたんだが、『攻殻機動隊1983くらい』ってどうだろう?
スター・ウォーズ』(1978)、『機動戦士ガンダム』(1979)以後で、SFなるものが広く一般に拡散・浸透していた時代だけれど、小説『ニューロマンサー』(1984)よりは前。もちろん漫画『アップルシード』(1985)よりも前のセンスで作られる、つまり士郎正宗の原作抜きのアニメ『攻殻機動隊』……。
・キーボードはむやみにでかく、カラフルなボタンが不規則に並んでいる
・画面は一見GUIっぽいが与作みたいな単色ドットキャラがぎくしゃく動く
・コンピュータ通信はネットワーク化されている。だが媒体はフロッピーディスク
・ネット接続中の場面は、2ケタの数字・記号が画面を埋め尽くして流れる表現
・接続中の場面では「キュピーゴロゴロピープピーガー」という効果音が流れる
・大量の電子メールが送られてくるだけで処理落ちの危機…それはデジモn
タチコマその他のデザインはスタジオぬえが手掛け、後年でも見劣りしない
・ただし車はエアカー
・当時の重大な社会問題、校内暴力を取り上げる。9課は不良生徒に対して攻性に対処。近未来の設定なので不良の恰好は長ラン等でなく「マッドマックス」風
ソ連健在。世界は大きく東西に二分されたまま緊張が続いている
第三次世界大戦? なに言ってるんですか米ソが開戦したら人類全滅だよ!)
・だから当然、ハッカーICBM基地のコンピュータを乗っ取られる話がある
 
……あんまり面白くないな。
ただ、元の「ヤマト1966」のコメントでも、「ヤマト以前に『スタートレック』があった」とか「1968年にはムーンライトSY-3があった」とか指摘されているように、時代というものは連続であって、よほど細かく見ていかないと勘違いを起こすよなぁと改めて思う。
上の「攻殻1983」にGUIネタを盛り込んだけど、初代マッキントッシュ1984年発売で、さてどうだろう、1983年時点でSF的想像力を広げたとき、GUIこそが当たり前になった今日を描けたか? あるいは、ダイブする系インターフェースは未だ実用の兆しが無いが1983年(ニューロマンサーの前年)のSF的想像力はそこにたどり着いたか? 83年だというならビジュアル面では82年の『ブレードランナー』の影響を受けていないか?(中途半端に影響されてる「ウラシマン」を週一ペースで見ていたり)
 
巨視的には「ヤマト」は確かに宇宙船のデザインに変革をもたらしたし、「ニューロマンサー」がサイバースペースのイメージを形作ったけど、歴史というのはそれだけじゃないんだよね。当たり前だけど。過去を振り返るときには、一年刻みかそれより細かく時代の積み重ねや流れ、相関とか因果をみていくことを忘れないように心掛けたい。

それと、「ヤマト1966」みたいなお遊びに対しては野暮はいわないけど、『Dororonえん魔くん メ〜ラめら』(2011年5月1日付)とか『『激マン!』(2011年8月1日付)とかの商業作品についてはキッチリと見るべきでしょう。最近だと新幹線リレー号? 私はスルー以前に全く見てないので反応できなかったのですが。



(7月4日追加)考えてみりゃ「ウラシマン」が1983年放映で2050年の設定で特殊な警官を描いているんだから、あれベースに対象年齢を上げてサイバー要素を加味すれば「攻殻機動隊1983くらい」になるのか。