「後ろ倒し」の気持ち悪さ

なんかまた就職活動関連の記事に「後ろ倒し」って言葉が使われてるけど、気持ち悪いよねこれ。
デジタル大辞泉」提供のgoo辞書は実に何ともゴテイネイに 『《「前倒し」に対して作られた語。「あとだおし」とも》 予定の時期を先に延ばすこと。先送り。「開始時期を―にする」』 なんて書いてますが、「先送り」もしくは「先延ばし」でいいものを、なんだってわざわざ新語を作るんだと。
気持ち悪いと言っていても仕方ないので、かかる誤用が何故に新語として定着したのかを考える。
例えば、「買春」を「かいしゅん」と読むのも気持ち悪いけれど、まぁ「化学」を「ばけがく」と読むようなもので、同音異義語との混同を避けるためだと理解できる。

じゃあ「後ろ倒し」はどうかというと……、それとはまた別のケースのようだ。

そうそう、個人的には「百歩譲って」も気持ち悪い、とは言わないまでも違和感を覚えるのだが、これは案外と古い言葉らしい。【玄倉川の岸辺】2006年04月15日付の「一歩と百歩」「一歩と百歩その2」は中々参考になる。
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/6c71dc1ac5c5efcec3e7acd28d059bb6
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/598e5305a8caca101d4a3a6b6288f385
ただ、「私は一歩譲って〜という用例は聞いたことがありませんでした」「「一歩譲って」を、はじめて見たり聞いたりしたのは、おそらく80年代半ば過ぎ」というコメントにはさすがに魂消た。いくら『百歩』が定着してようとそりゃないよ。
話がそれた。ともかくも「後ろ倒し」は「百歩譲って」の仲間でもないらしい。

そーするとなー。なんだろーねー。気分的にはアレだ、それこそ求人解禁のように従来は「前倒し」が話題となっていたものについて、その方針が逆転される場合について「後ろ倒し」と言う、ってことなんだろうけど。それなら発生の経緯としては理解できるんだけど、どうも最近は「前倒し」とは全く無関係なケースについても「後ろ倒し」を使ってるケースがあるようなんだよなー。
そんな耳当たりの良い言葉でもないし、「先送り」「先延ばし」でよかろうものをとやっぱり思ってしまう。