謎の電車

(↑つづき)
トロリーバスに比べれば、「訊けば知っている人がいるだろう」と、さほどの謎でないのが電車だ。これも『東京電燈株式會社開業五十年史』(昭和11年/1936年)、「廣汎なる電氣の用途」に載っていた写真。

2両固定編成だとか半流線型の正面形だとか、一見すると当時最新の電車のようだが……。なんだろう、この凸凹なドアは? マァ普通に考えて、運転台に近いほうは鉄道ホーム用、後ろのほうは併用軌道の停留場用なのだろう。

そのつもりで見ると屋根の上も珍妙で、運転台の上にはダブルポールらしきもの、車体後方にはパンタグラフが載っている。つまり、都市内では路面電車として、郊外では高速電車として運転した車両らしい。そういう路線で、こんなヘンテコな電車で、しかも1936年時点で存在していたとなると簡単に絞り込めそうなのだが、どうも思い浮かばない。



はい、人に訊いたらあっさり判明。京阪電気鉄道の60型「びわこ」号だそうです。