スポーツ面は触手解放区

(↑続き)
しかし、広辞苑にも日本国語大辞典にも載っているにも関わらず、「触手が動く」をはっきり誤用としているものがあります。先に引用した記事の続き。

http://www.asahi.com/culture/animagedon/TKY200711240187.html
小原篤のアニマゲ丼・2007年11月26日
触手が動いちゃいけませんか?
(略)
ちなみに弊紙記者必携の「朝日新聞の用語の手引」(市販もしています)では、「触手を動かす」は誤用で、「食指を動かす」か「触手を伸ばす」とせよ、としています。あれ?広辞苑と違ってる。
(略)

どちらが正しいかはこの際問題ではありません。「では実際朝日新聞記事ではどうなのよ?」と探ってみると、これがちょっと面白かった。
アサヒ・コムhttp://www.asahi.com/)で、「触手」をサイト内検索……。72件がヒット。結構あるじゃなイカ? っと、その中には「侵略!イカ娘」のレビュー記事中の「髪の毛のように見える10本の触手」や、先に引用した記事「触手が動いちゃいけませんか?」もあるのですが、そのほとんどは「触手が動く」「触手を伸ばす」の用法です。
「誤用といいつつ、なし崩しになっているのか?」と一見して思いますが、ヒットしているのは
「home〉スポーツ〉サッカー〉海外サッカー〉」
の記事が圧倒的に多い。
どうやら朝日新聞のスポーツ部の海外サッカー担当には、触手が大好きな人がいるようです。全国紙で校閲部が機能していないとはさすがに思えないので、校閲が「触手を食指に正せ」と入れてくるアカを突っぱねることが出来る程度の権限を持った人……だからデスク以上、おそらくは部長クラス。
「長い触手には巻かれろ」ということわざがありますが(無いよ)、会社が誤用としている「触手を動かす」をあえて使い続けている反骨の精神に一目置きたいところです(反骨っていうか触手だから無骨ですが)。