夏も終わりに近づいて、セミの死骸が道端にゴロゴロ転がる頃となりました。昨年はうっかり拾い上げては刺されたりもしましたが(2010年8月13日付)、今年はそんなこともなく、ただ世の無常とかナニヤラを感じたりしています。
さて、「蝉時雨」という言葉があります。セミの死骸が時雨の如くザザーッと降ってきたら、それはそれで面白い気がしますが、実際にはセミの鳴き声がそこらじゅうから聞こえてくる様を言う。感覚的にはわかるのですが、改めて考えると「鳴き声」を「時雨」に見立てるというのは、何か一本外れているというか、イマジネーション豊か過ぎというか、不思議な関連付けのような気がします。
時雨といったらそれは雨であり水であって、雨音は決してその本質ではない。一方でセミの声は空に飛び交うものであり、一方向に降り注ぐものではない。にもかかわらず、雨音との類似をもってセミの鳴き声を時雨と言い慣わしている。これはなかなかに奇妙な感じ。英語だとセミの声のシャワーてなもんでしょか。実際なんて言うかは知らないけれど。
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