「理数系女子」の可能性

先日、ふいと思い付きで書いてしまった「理数系女子」についてちょっと考えてみた。あえてリアルと二次元の別なく仮説を唱えるなら、「草食系男子」の反転として、「理数系女子」は広く一般に認知される属性、カテゴリたり得るのではないか。

「理数系女子」とか「論理少女」とかは、「女とは感情的で不条理で非論理的な者である(べきである)」という社会通念からすれば「女らしくない」女性である。

従来は「女らしくない」といえば、常に男を対立項に置いていた。「ボーイッシュ」「マニッシュ」「男勝り」あるいは「おやじギャル」だった。「草食系男子」の反転として、バカバカしくも明快な「肉食系女子」なる言い様もあったようだ。いずれも男性社会の原理によって、男性基準の尺度で設けられた属性である。

「理数系女子」は、それらとは一線を画するのだ。「理数系」は(一般にいわれる)女性の性質からはかけ離れているものの、「男性的」と直結するものではない。男性的なのではなく無性別、ユニセクシャルなのである。そこが「女々しい」とか「玉無し」ではない「草食系男子」の反転だという理由だ。既に「歴女」「鉄子」など、趣味の領域で性別を越えた女性がカテゴライズされている。その一歩先に、思考形態や性格においてユニセクシャルな女性のカテゴリが想定しうる。

「理数系女子」が昨今増えているとかいないとか、そんな事実性はどうでもよろしい。「1.男性原理において、「女らしくない」女性が増えている」という不満もしくは恐怖は、常に一定量存在する。その感情の具体的な、新しい姿として、「理数系女子」を立ち上げることは可能ではないか。

最大のポイントは、やはりユニセクシャル性である。ユニセクシャルは、実のところ男性原理に都合がいい。「2.必ずしも男性の男性性を脅かすものでない」かつ「2-2.男性原理で制御可能という希望がある」からだ。

不況下の保守反動傾向にあって「1.」の感情を消化するには、「2.」のような性質をもつ「理数系女子」が時代の感情に合致していると思われる。

これまでフィーチャーされなかっただけで、理数系の女性や論理的に思考する女性はマスとして存在している。繰り返すが、「理数系女子」が昨今増えているとかいないとか、昨今人気であるとかいないとか、そんな事実性はどうでもいい。そういうカテゴリに需要があると考えられるのである。