/自動車メーカー社長が言う「空飛ぶ車、空飛ぶ原付バイク」

先日のエアカーについてのエントリに対して、そうりゅうあすかさんが「自家用飛行機までは高望みはしないけれど」とコメントされたのを読んで、ひとつ思い出した話がある。
21世紀の始め、私の同僚が第二東名のPR誌を作っていたときのこと。当時のT社社長へのインタビュー企画で、30年後だったか50年後だったかの未来予想をうかがったところ、「空飛ぶ車」の話があったという。

「空飛ぶ車」といっても、エアカーとか、自動車から飛行機に変型する乗り物ではない。航空管制技術の発達および関連法規の規制緩和によって、自家用飛行機が自家用車並みに身近な存在になるだろう、という主旨だったらしい。

その後10年経ってもT社が自家用飛行機を開発・発売するという話は聞かないし、関連法規の規制緩和どころか横田基地問題すらそのままで、結果的にはホントに夢だったといえるけれど、天下に名だたるT社の社長がずいぶん面白いこと(有り体に言えば「夢のある話」)を考えるものだと思っていた。

ただこの発言、記事にはならなかった上に(建設中の高速道路のPR誌で「未来は自家用飛行機が普及する」なんて書けるわけがない)、余所の雑誌でもみないんだよね。ちょっと大宅文庫に行って社長のお名前で検索してひととおり発言を追ってみたけど、空飛ぶ車は出てこない。その場の思いつきだけではないにせよ、やっぱりヨタ話だったのかな、○ヨタってくらいで。なので、オフレコ発言では無かったようだしオフレコにするほどの話でもないけど、念のため伏せ字にしておいた。

一方でホンダの社長も「空飛ぶ「スーパーカブ」を作りたい」とか言ってたりしています。

【2003東京国際自動車会議報告】ホンダ─福井威夫社長
空飛ぶ「スーパーカブ」を作りたい。それが宗一郎時代からの「夢」だから
(略)
陸や海といった2次元のモビリティは既に事業の柱だ。ホンダはこうした現状に甘んずることなく,3次元,つまり空のモビリティにも挑戦している。目指すのは「空のスーパーカブ」だ。その夢の実現に向けて,ホンダは一歩一歩前進している。
(略)
できる限り多くの人が簡単に空を移動できる航空機市場への参入は,40年以上前から創業者の本田宗一郎が掲げていた夢でもある。

となると、自動車メーカーが次のステップとして自家用飛行機を夢想するのは、けっこうよくあることなのかも。T社と違ってホンダはその後、実際にホンダジェットを商品化したりしてますから、「空のスーパーカブ」のほうはいずれ本当に現れるかもしれません。(なお、このとき言及しているのは新型レシプロエンジンで、ホンダジェットのエンジンとは技術的にはおそらく無関係。)