そこにカンマを打つな

先々週から今週にかけて、仕事でいろんな会社の決算書に目を通していた。なかでひとつ非常に気になったのが、某社の事業報告のなかに出てきた、こんな数字の表記である。
「1,234億56百万円」
……どうだろう、気にならないだろうか? 「そこにカンマを打つな」と。すみません、私はどうにも看過できません。
なんのための、どういう意味のあるカンマなのか。
「1,234億56百万円」は、カンマ区切りに忠実ならば「123,456百万円」、万億切りに忠実ならば「1234億5600万円」、このどちらかしかあり得ない。「1234億56百万円」ならば許容範囲だが(元のデータが百万円単位で以下切り捨てだったため)、「1,234億56百万円」とカンマを打つのはどう考えても間違いだ。
本来の意味を忘れて、なんとなく千の位の後にカンマを打ってしまったのだろうが、いかにも思慮のない話である。え、何? 「慣習として、1,234億56百万円とカンマを打つほうが一般的だ」? それなら慣習や一般のほうが誤りなのだと断言する。
こういう書き方をする人は、「円」の次の単位が「千円」で、その次が「百万円」だという理由がわかっていないのではなかろうか、と思っていたら、実際そうらしい。次のページの表組は「億円」単位だった。いやまぁ、それだけならばそれでもいいんだけど、表中の4、5桁の数字には1,234 とこれもカンマが打ってある。「十億円」単位であれば、カンマが打たれていてもなんの問題も無いのだが。
「細かいことをいちいち気にするな」といわれそうだが、しかしこれはただ単に余計なカンマを打たなければそれで済む、何のツッコミどころもない話。どうしてこう、位取りの使い分けができないのだろう。