/「空を飛ぶ」は「地表に浮く」の上位互換

スペースシャトルの形のものが空を飛ぶ」ケースと同様、フィクションの体験が先行したために長らく私を悩ませていたのが、「ヘリコプター(回転翼機)」と「ホバークラフトAir-Cushion Vehicle)」の違いである。今でこそ峻別が付くけれど、『機動戦士ガンダム』のワッパとか『戦闘メカザブングル』のホバギーとかがホバークラフトって称されていたからね。確かにローター(というかファンというか)周りのデザインを見るに、回転翼機ではあり得ないんだけど、劇中の描写はどう見ても飛行で、ご丁寧にも前進するために前傾姿勢を取っている。
ワッパやホバギーは翼を回転させて揚力を得ているのではなく、また空気のクッションの上に載っているわけでももちろんなく、「ファンが発生する下向きの推力によって飛行している」というリクツなんだろうけど、ジェット/ロケット噴射でもないのに総質量を上回る推力を得る(1G下で推力重量比1以上を達成する)ことなんて可能なんだろうか。――いや、ツッコミ抜きのマジメな話として、発動機の高出力化と機体の低質量化とブレード形状の研究が進めば、それは可能になるのでしょうか?
また、地表効果と無関係な高度にまで上昇している以上、乗員の体がもつ限りはどんな高さにでも行けるはずなんだが、どうしてワッパやホバギーはせいぜい高度10mがいいとこなんだろう。中途半端やのー。
それと細かいことをいうと、ずっと後になってからの作品「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」のホバートラックさえもホバークラフトとして成り立っていないんだけど、まぁ気にしちゃいけない。あれはむしろ地面に棒を突き刺すパッシブソナーのほうが謎。一体どういう設定なんだアレは? 地中をさえ伝わってくる音(=振動)なんて、ただ外に立っていたって聞こえてきそうなもんだが。
ちなみに、ソレっぽいデコレーション(メーカー称するところの「ディテール」)の追加により「いわゆるリアル」にアレンジしたプラモデル、UCハードグラフの35分の1ワッパの解説文にも「短時間なら飛行も可能」と書かれていて飯を噴く。また、『バニシングマシン2』では、『機動戦士ガンダム』ではホバークラフトとされたファンファンがVTOL機という設定に変更されているのが面白い。



適当な玩具が無かったので似たようなもんで代用。
ワッパの代わりにワッパ(手錠)、ホバギーの代わりにホバ。