諸説紛々ポンコツの語源

ネタを得るために買ったわけではない本に、思いがけず話のネタが眠っていた。昨日付でこのブログで取り上げた『岩波写眞文庫94 自動車の話』中、タクシー事情の紹介を兼ねてポンコツの語源が書かれているのだ。「中型には四○年以前の外車もあり、名をポンコツという。クラッチなどにガタがきて、ポン・コツときしむからである。」P24にはそう書かれている。語源どころか意味まで解説されていることからすると、これ以前にはふだん使わない言葉だったらしい。意外に新しいという印象だが、ホントにこれが語源かとググってみると、諸説あることがわかった。

「語源由来辞典」ポンコツ
http://gogen-allguide.com/ho/ponkotsu.html

何かめんどいサイトなので、上記をクリックして読んでみてください。
なんというか、無署名の記事で「思える」「考えられる」とかやらかしてるわ(トップページまで戻っても執筆者は判明せず)、「古くは拳骨で殴ることを意味する」と前置きしつつ、そっちの語源はほったらかしだわ(「古くは」っていつだよ)、辞典と言うにはこれこそポンコツなのだが、情報としては有益である。

で、「拳骨で殴ることを意味する」のほうをあたってみると、「明治の初期に誕生したもの」という説明が出てきます。

ポンコツ」とはどこの言葉?
http://fb-create.com/2007/10/post-17.html
このポンコツっていう言葉は、明治の初期に誕生したもので、もともとは拳骨で殴ることを意味していたんです。

ポンコツの語源については、一読に拳骨=ゲンコツを西洋人が聞き違えてポンコツに変化したと言われてますが、拳骨で殴る、つまり、罰として拳骨で殴るところから、罰することを意味する英語の「パニッシュ(punish)と「げんこつ」の混成でポンコツになったという話もあります。

ポンコツは当初は拳骨で殴ることを意味してたんですが、のちに大きな金槌の事をポンコツというようになりました。

そして、自動車を金槌で叩いて解体するところから、ポンコツは自動車の解体の意味になり、さらに壊れた自動車、中古品廃品を意味するようになっていたんです。

いずれ西洋人絡みの語源、なのか?
手元の「広辞苑 第三版」ではどうかというと……。

ぽんこつ (もと、かなづちの意ともげんこつの意ともいう)牛などの屠殺。また、古くなった自動車をたたきつぶして解体すること。転じて、老朽したもの。廃品。安愚楽鍋「俺達は牛牛と世間でもてはやされるやうにはなつたけれど…四足を杭へ結ひつけられて―をきめられてヨ」。

「もと、かなづちの意ともげんこつの意ともいう」という書き出しも頼りなくて気になりますが、それ以上に問題なのは「屠殺」。上のふたつは触れていない意味が、語源ではなく語義として書かれてます。ご丁寧にこれのみ「安愚楽鍋」での使用例付きで。おいおい……。(つづく)