サマー/タイム/トラベラー2

一気に読了。

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)

とりあえず、作者の力量に圧倒された、というのが第一の感想。プロットというレベルですら、十分に読み取るにはまた1巻から読み直さなければならない(理解困難という意味ではない、念のため)。
1巻についてのどこかの感想に「新城カズマなんて今どき年寄りしか読まない」とあったが、その書き手が言わんとしていることとは別の次元で、成熟というか分別くささ(笑)が求められるなあ、というのが第二の感想。『SFマガジン』7月号で笠井潔

大人になれたのは、(小松左京のような)戦中派までだと思うんです。戦後生まれの我々は、もうそうはいかない。外見だけ中年で、精神的には子供のまま、いつまでも成熟することができないでいる。

と言っていたが、老いも若きもSFファンの大多数がそうした者であるなら、おそらく「サマー/タイム/トラベラー2」はあまり受け入れられないだろう。
この視点からは、ぼくたちを置いて未来に進んだはずの悠有が(以下ちょいバレ)逆に、大人にならずにパストフューチャーへと向かっている――置いていかれたのは、さて、どちらなのか? という皮肉も読み取れる。エピローグの最後の最後、オブジェのくだりは、希望を示しているようにも見えるが、「未来永劫」理解されない、とはつまり、悠有は目指した未来に決してたどりつけないとも示しているのだ。
かいつまんで言うと、悠有はオタだが卓人はカタギになった、と(笑)。