『まんがタイムきららキャラット』8月号

あー気が付くとアニメ「NEW GAME!!」放映開始直前だよ。てなわけで、今クールは「サクラクエスト」でもCMが流れる週2回体制の『まんがタイムきららキャラット』、8月号の感想。今月は「ひだまりスケッチ」が載って休載無し。新連載は2本、ゲストはなんと2本のみという珍しい布陣です。

アニメ第2期放送直前ということで表紙と付録でNEW GAME!推し。付録にコミックス用クリアブックカバーが付く分、定価は通常より100円高。表紙は婉曲に言って「デカい」、はっきり言えば「エロい」。取り込み用にゲーマーズで2冊目を買ったというのは秘密。付録の絵柄は青葉とほたる、紅葉とツバメという珍しい組み合わせ。アニメの新キャラアピール?  にしてもほたるにどれだけ出番があるのだろう。
 
巻頭のカラーページは、NEW GAME! のアニメ第2期とブレンド・S」のアニメにそのうえスマホRPG「きららファンタジア」まで加わって、頁のやりくりで嬉しい悲鳴を上げているような状態。今号はNG情報1頁・レポート漫画1頁、ドS情報1頁、きらファン1頁という構成。ドSは苺香・夏帆・麻冬のキャストコメントと先行カット。不勉強につき申し訳ない、声優は3人とも存じ上げない。コメントも無難な感じ。先行カットは、原作絵と並べて見せられると随分違うなという印象だが(特に目のバランス)動いているとさほど気にならないのだろう。

「きららファンタジア」の情報が載るのは今号が初めてだけど、「もうみんな知ってるよね?」あるいは「詳しくはWEBで!」的な扱いで、むっちゃ雑な紹介なのが実に現代的。「まほうつかい」姿のひふみのデザインは初公開で、きららキャラット発売日の28日に2日遅れて、30日にウェブサイト上でも公開されました。
 
NEW GAME!
まさかのフランス編開幕。新キャラ・カトリーヌの紹介で終わってしまった感じだか、逆に言えば今後もフランス編も掘り下げるということだろう。カトリーヌの車はポルシェ991のタルガトップとのこと。フランス人なのにドイツ車なのは、日本人のいわゆる「クリエイター」層が日本車やドイツ車でなくアルファロメオとかのイタ車に乗ってるようなものなんだろか(よくわかってない)。

PECO の次の企画とか、紅葉&つばめが正社員として入社するまでの間とか、日本のほうの話をどうするのかも気になるところである。2話掲載の場合、前に日本の話が、後ろにフランス編が載る感じか(今後2話掲載がどれだけあるのかとは思う)。

NEW GAME!」は本編以外にQuro先生によるアフレコレポートが掲載。カラー1頁・白黒2頁という限られた頁数で各キャストの魅力をよく伝えてくれてます。イーグルジャンプ社員のガヤには得能先生や監督も混じっているそうで、そのあたりも聞き逃さないようにしよう(つってもどんな声か知らないから聞き取りようがないが)。
 
Aチャンネル
猫カフェというのも後学のため一度は行ってみるべきかと思わされた回(ちなみにメイドカフェも入ったことがない)。ところでハシラの登場人物紹介、今回は出番のないレギュラーよりも、たまにしか出てこないヒラちゃんやアレキサンドライトが何者かの紹介のほうが有用なんでは…。
 
「おちこぼれフルーツタルト」
スポンサーであり敵でもあり、親子の因縁もあるという実に複雑な新キャラを、すっきり分かりやすく見せたのが巧い。今後の展開にも興味を持たれるが、「そもそもこの漫画の主人公って誰だっけ?」感が無きにしもあらず。
 
ブレンド・S」
美雨さんのネタ帳を苺香さんと店長が読んでしまうという話だが、ああまでヒネってあれば自分がモデルとは気づくまいw 美雨さんに乗せられて、苺香さんと店長の関係が進展? というヒキも良い(でもどうせ…とは思う)。アニメにも美雨さん早めに出して欲しいな〜。ちなみに、厳密に言うと「学生」とは大学生のことであり、高校生は学生ではなく「生徒」なんだぜ、とトリビア
 
「正義ノ花道」
センターカラーで新連載の「正義ノ花道」。ちょっと前に長期連載「ぱわーおぶすまいる。」を完結させたウロ先生の新作です。平凡な高校生が意中の女子に好かれたいという動機で、変人女子が作ったアイテムで変身…といういささかステレオタイプなヒーローものですが、まぁタイトルで「花道」ってくらいで、あえてやっているのでしょう。きらら系には…あるいは広く4コマ漫画には、ちょっと珍しくて新鮮(ていうかそもそも男主人公がきらら系には珍しい)。
 
「まちカドまぞく」
トビラ絵はここまでの話を引っ張ってきたキーパーソン、ついに出ました千代田桜! シャミ子の笑顔もまぶしい。「わちゃわちゃされると消えちゃう」って割と深刻な事態もギャグっぽく軽く流してますが……。一方で現実世界の面々は「何ガロンくらい?」なんてギャグっぽい台詞でもカバーしきれない重さ。リリスすら止めるほど桃の決意は極端かつ重い重い。ここらへんサブタイがネタの補足にもなっていて、本編の後で見返すとクスリとしてしまいます。「フレッシュピーチブラッドシャワー」に「変身しないと止められない」!

桜さんのコアの在り処はシャミ子の中! …というのは予想の範疇ですが、そのコアでシャミ子の命を支えているとか「妹の分まで呪いを背負った優しい子」とか、シャミ子の身は従来言われていた以上に深刻だったことも明らかに。こうなると「そもそもなぜそこまで強い呪いが?」という疑問もわいてきます。

そして消え去る桜に向かってシャミ子が口にする、これまでがんばってきた動機!
「…桃に 桜さんを返せないと 桃が笑顔になれない…!
さらにその言葉を受けた桜さんの返答は……。
「…大丈夫! 桃ちゃんはもう…私より、町より、自分より大切なものができたみたいだから
そしてサブタイを読み返すと、
「宿敵」!!
もう、これ打ってるだけで目が潤んできます。

桜はシャミ子に「最後に…お願いがあるんだけど」と何やら耳打ちして一時退場…。ここはやはり「自分の嘘に乗れ」と言ったのでは……というネタはツイッター上では見られませんでした。病院が舞台だし、連想したのは私だけでは無いと思うんだがなー。

「まちカドまぞく」、今回はここまででお腹いっぱいなんですが、最大の衝撃はその後やってきた!
「闇堕ちして来た」
「意 味 が 分 か ら な い」
チャリで来た感覚」
の3連コンボ!(3連目はサブタイだけど)。桃が眷属になってシャミ子の記憶の中へ…という展開自体は予想したものですが(http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20170509)このシーンに至るまでの盛り上げ方、いつもは台詞が多めの作品なのにここは最小限の会話に絞ったテンポの良さ、そして「チャリで来た感覚」という小ネタと、期待を遥かに超えたクライマックスとなっていました。へそ出しコスで古傷を見せても&見ても、ほとんど気にしない桃&シャミ子の関係も素敵です。

そんな桃のコスチュームそして「ダークネスピーチ」の名にシャミ子が大興奮なのは、2巻p77とかの「必殺技に興奮する自分」の延長なんでしょうが、2巻p66に描かれたような、ゾンビや幽霊サイドに感情移入することの延長でまぞく仲間に興奮していたのだとしたら微妙に意味が違ってきますな。

てなわけで、シャミ子の桜との対話、桜の一時退場、そして桃の闇堕ちでひと山越した感はありますが、だからこそ次回どうするのか(桃はどうやって笑顔を見せるのか!)、そして4巻収録分からはどんな話になるのか、早くも今から楽しみです。
 
キルミーベイベー
粘土細工というお題で、やすながソーニャを煽って返り討ちに合うという毎度の展開。終盤は二人とも全身を粘土に覆われてツインテ以外では見分けが付かないのが大胆w  「これでもう私に死角はない!視覚もないけど!」とか、やすなのバカは底抜けだな(誉め
 
「ネコじまにゃんだフル」
シロ&クロがそろっていきなりデレて少々戸惑う。いやまあいかにもネコ的な(隠語でなく動物のほうの猫的な)可愛げ全開だし、前回までの話の流れとしても不自然ではないけれど、この先どう話を持たせるのか気になるところ。
 
「すわっぷ⇔すわっぷ」
『白雪姫』のお芝居に春子夏子が主演するというお話。本来ならロマンチックなキスを、春子夏子は特殊な実利のために連発していることがこの作品の肝な訳で、それと『白雪姫』を組み合わせたらどうやったって面白い! 舞台の上で、「癖で」本当にキスしてしまうドライさや、そこから台詞が飛ぶたびに入れ替わるという便利さw など、この漫画独特の設定と二人の完成性とを巧く生かした好編に仕上がってました。…最後に出てきた春子のことが好きな子(名前忘れた…)にまで認められる、というのも良いアクセント。
 
「異なる次元の管理人さん」
このところ話がシリアスに振れ気味だから、パルムのピュアな前向きさが一際まぶしくて救われる。そして世界の根幹に関わる謎が…というか謎の人物がまた増えた。3巻完結かその後も続くかいずれにせよ、3巻で諸々の謎に一区切り付く感じだろうか。
 
「ふじょ子とユリ子」
センターカラーで新連載。ゲスト作の連載昇格は久々。「恋した相手の風変りな趣味に振り回される」というオーソドックスなラブコメだが、ふじょ子の腐女子としてのディテールが絶妙で、確かな変人らしさと「あるある感」を備えつつ、嫌味なく可愛らしいキャラになっている。対してユリ子のキャラは少々弱い(きらら時空で百合は普通だしね)が、片想いしている側としての真摯さと非オタ故の困惑に素直な好感が持てる。ふじょ子に話を合わせる中で、自覚の無かった絵の才能を思いがけず発露させるものの、別にBLに目覚めるわけでない…というバランスも巧い。今後にも期待。
 
「ゆず35歳@中学生やってます」
ゲスト掲載。2話目で、というか後編で早くも身バレ危機。同級生達がかなりの脳内お花畑で、腐った35歳との対比が映えた。「年齢とか性別を偽って寮生活」設定の漫画やゲームはよくあるが、それが終わるような就職活動を積極的にしているという方向性もちょっと新鮮。
 
「リトル・リトル・アリス」
住民に認められると人間(の女王)になれる…という重要な設定がずっと放置されたままだったが、ここにきて現女王が本来の死神リンナとして目覚めるという展開。一発ネタと思っていた女王アドバイザーと王族失墜アドバイザーに、まさか筋の通った存在理由があるとは! そのうえクライマックス前の一番いいところで、アドバイザーたちがまさかの再登場!  ロリコンたちも正気になっていよいよ最終決戦は盛り上がる! …と言えば確かに盛り上がってるけれど、「なぜ卓球勝負?」感は無きにしも非ず。次号はまだ最終回ではないので、その次までかな。
 
「リラのお菓子な魔法」
最終回、単行本化も無しという少々寂しい幕引き。ゲストからの昇格でなしにセンターカラー2話一挙掲載で連載開始、という華々しい幕開けだったのに終わり方がこれというのは、いかなる事情にせよ問題だろう。いやホント、何があったんだろう?

この際だからと1話から読み返したが、やはりどこに向かっているのかよく分からない作品だった。3話から始まった話として読んでも、肝心の「リラは何者なのか、失われた記憶に何があるのか」は放置。なのに、それなりのアイデンティティを獲得していくから逆に落ち着かない。いやいや、リラがアイデンティティを「回復する」のではなく「獲得する」ことが物語の核かと思いきや、街の「結界」をはじめとした作品世界全体に関わる設定もフィーチャー。リラの魔法はどうやらそれに絡んだものだったり、どうもそれとは限らなかったりする。その上「困っている人をほっておけない」設定まであって、そちらの問題提示と解決がまた並行して語られるから、とにかく全体的に詰め込み過ぎという印象が強かった。あとなー、3話でいきなり時間が巻き戻ったんだから、打ち切りなりに最終話のラストは1、2話に繋がる形にすればよかったのでは思ってしまう。