姫路・大劇映画ビル

電車の窓から見える日暮里の崖の上。ある日ぽっかりと空間が開いた。はじめはただ違和感を覚えただけで、次の日になってふいと思い出す。

あの空間はひょっとして、古くてデカくてカッコいいアパートが建っていた場所ではなかったか。

という前振りからの姫路の話題である。

山陽新幹線をよく利用する、車窓に姫路の街を眺めていた人にとって「大劇映画ビル」はそういう存在ではないかと思う。11月8日を最後に営業を終えたとのこと、そう遠くない将来取り壊されることだろう。そうして突然無くなって、ぽっかりと空間が広がって、はてあそこに何があったかと考えて、ああ何やらオレンジ色の、古風な書体でナントカと書かれていたビルがあったなと思い出す。なんとなく気になるけれど、だからといってわざわざ降りて見にいったりはしない場所……。

だが、わざわざ降りて見に行くのが私だ(2015年10月18日撮影)。


しかも二度目(2007年2月23日撮影)。

ホントのことを言うと11月に閉館になるなんて知らなくて、姫路城から姫路モノレール跡へ行く道すがらに撮影したというだけなんですけどね今回。前回もマァ、姫路モノレール跡のついでで寄った、という。

そうそう、念のため書いておくと、くだんの日暮里のアパートは戦前生まれで「正緑荘」といい、かつては「天王ホテル」と称する高級下宿だったとのこと。