死の穢れ

一昨日の帰りがけ、職場の玄関の横にスズメの死体が転がっていた。シャッターが下りたときに挟まれたか、微妙に潰れた、路面に貼りついた感じで、ただし血やその他の体液は流れ出たふうでない死体だった。

このまま放っておくと誰かに踏まれそうな位置だし、そうでなくとも掃除の時に拾われて可燃ゴミとして扱われるのかと思うと忍びなくなり、ひょいと摘み上げ、隣にある公開空地の木の根元、草むらの中、人目に付かない所へと運んでやった。これがホントの草葉の陰、なんちて。

コホン。さすがに墓を掘って埋めるまではしなかったが曲がりなりにも土の上、虫だの小動物だのの糧になり、やがて土に還ることができるだろう。

この心情も自分自身面白いと思うが、一つ前に戻って摘み上げたときの気分。腐敗が進行しているわけでも、体液があふれているわけでもない、生ゴミよりも枯れ葉枯れ枝に近い「乾いた」死体だったにもかかわらず、指先から汚れが流れてくるような気分を得た。理屈ではない不浄さ、これが死の穢れというものかと一人ごちた。

つってもまぁ、それで塩とかで清めたりするほど信心深くもないのだが。代わりに普段から持ち歩いてるアルコール配合ウェットティッシュで指先を拭くくらいはした。