「日本語相談」の黒歴史回

蛇足ながら「日本語相談」第201回「敵性語なのにゼロ戦と呼ぶのは」についてもう少し。先日、「日本語相談」の単行本が置いてある図書館まで出かけてみました。

四巻収録分が「[初出]『週刊朝日』一九八九年一〇月二七日号〜九〇年一二月二八日号」なのですが、通し番号で問201はゼロ戦ではなく与党・野党の話、なのに回答者は丸谷才一(「日本語相談」は4人の回答者回り持ちです)。収録されているのは57回分だからほぼ全ての回を収録しているわけで、載っていない「ゼロ戦」の回にはクレームが付いたか何か、掲載を見送るだけの事情があったものと思われます。なお、「日本語相談」は単行本でいうと全五巻。そして五巻巻末に総索引があるのですが、やはり「ゼロ戦」「零戦」はありませんでした。

まぁ実際デタラメだからね、あの回。【その2】では取り上げませんでしたが、零式艦上戦闘機のもうひとつの愛称、"Zeke" を "Juke"と勘違いしたうえに、そのうえジューク・ボックスに絡めたまことしやかな解説を繰り広げていたりする。細かなところでは、明治政府が紀元を定めたのが「一八七三年(明治六年)」というのも間違いで、前年の11月制定。紀元節を2月11日と定めたのが1873年だという。なんかもう、あのページで正しいのはノンブルだけ、というレベルだな。