「Gのレコンギスタ」#10
今回はアクションメインということか。モビルスーツの小芝居は過去のガンダムタイトルにも色々あったけど、円陣を組んだのは多分初めてだろう(笑)。接触回線通信でもわざわざ肩を組むとか、バックドロップをかますとか、ウーシァは妙な役回りを背負ったMSだな。対する高トルクパックの、装甲強化タイプに見えて実は(直線的ながら)機敏なアクションとか、ふっ飛ばしたウーシァを追い越してさらに一撃食らわすGセルフとかも十分以上に見応えがあった(ていうか一体どこのサイヤ人か)。アルケインがジャングルの中で振り返るときにビームライフルが木に引っ掛かっていたあたりも芸が細かい。
しかし、ドラマ性が希薄な分を補うためか台詞回しがいつにも増してトミノ節で、ちょっと首をかしげるやり取りがチラホラ。「お礼が言える人だったんだ…」とか「泣いてます、存在意義が無いんで!」とか「恋を知ったんだ、誰が死ぬもんか!」とか、言いたいことはわかるけど無駄にまわりくどく、わかりづらくしている感じだ。それと、ベルリが奇声を上げて走り回っていた理由が何度見てもわからない。
ベルリがケルベス(元)教官と言葉を交わす時間はあってもデレンセンがどうなったかを聞かない(聞こうとする描写もない)のはちょっと問題あるかも。以前にも書いたけど、序盤でカーヒルの死を引っ張り過ぎた反動で、やはりというか他のキャラの死が相対的に軽く感じてしまう。
「結城友奈は勇者である」#8
ああ、なるほど。勇者の宿命を誰がどうやって説明するのかと思ったら、先輩勇者を出してきたか。やはりというか大赦の面々をはじめとする大人たちの描写は最低限にとどめて.「彼女たち」に物語を終始させるんだね。車で移動する場面、優奈が運転者に話しかけないというだけでなく、運転者が画面から排除されている(ヒキで車を捉えたショットすらなく、到着したときのフロント部と後部座席しか映らない)あたり徹底しています。
例えば「まどか☆マギカ」ではお母さんという「サジェスチョンを与える大人」ポジのキャラが正しく機能していなかったし(「何が起きてるかすら把握できてないのに何言ってんだお前は」と言わざるを得なかった)、あるいはこの設定で「散華」の説明を大赦にさせていたなら「大人って酷い!」という感情のほうをより強く喚起していたはずで、なるほどこう思い切るか、という感じ。
ただ、やろうとしていることは面白いんだけど、前に書いたとおりその方針が物語の全体構造を支え切れていない感があるんだよなあ。端的に言って「彼女たちは自分の身体を犠牲して何を守っているのかがボンヤリしている」。これはまぁ、東郷さんが再三言っている「国」「英霊」とは実は……あたりで何か仕掛けがあるだろうから今後に期待。
それとどうしても説明不足な部分がでてきて、仮に大赦がバーテックスは全12体だと確信していたなら現役勇者は用済みで、体の不調はもう治らないと言ってよかったはず。逆に生き残りがいる可能性を危惧していたなら(現にそうなったわけだが)勇者たちにもその旨伝えるべきところだよね。
- 作者: かんの糖子,Project 2H,タカヒロ(みなとそふと),BUNBUN
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2014/11/26
- メディア: コミック
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また、「内容が手堅い」というのは裏を返せば「マンガ版ならではの付加要素が少ない」ということ。キャラクター周辺の描写のみならず、世界の大状況や「大赦」の設定・描写もアニメ同様にぼかしたままです。私個人はそこを面白く感じているのですが、これもボリューム不足と感じる人がいるかと思います。