「私はどうもパソコンが苦手で…」のアップデート

ひと昔前には「時代に取り残されたおじさん」の姿として、「私はどうもパソコンが苦手で…」と汗をかきかき、人差し指一本でノロノロとキータイプする……というステレオタイプがあった。

これは今なら、「私はどうもタブレットが苦手で…」と汗をかきかき、画面上の仮想キーボードに無理矢理10指を置いてのろのろとキータイプする……になるのだろうか。

なんてのはネタとして、小・中・高校でのICT教育推進でちょっとそのあたりが気になるのでした。あ、ICTは「情報通信技術」ね。ITで良かろうに思うのですが、どうも教育政策の用語としては「ICT」で統一されているようです。

んで、そこらへんの動向を探ってみると、何につけてもタブレットPC、何はともあれタブレットPCというのが現状(それと電子黒板)。それが悪いとは言わないし、小・中学生にはちょうどいい道具だと思うんだけど、高校までタブレットが第一と聞くとそれでいいのか? と思ってしまいます。小・中学生はそもそも長文を書く(入力する)機会が無く、せいぜい読書感想文程度だろうけど、高校生となれば小論文のひとつも書けなきゃおかしいわけで、その入力はタブレットでは追い付かないでしょう。まぁタブレットを使うのとはまた別の授業でやっているのもしれませんが、どう見たってキーボードが軽くみられてる印象。「キーボードの扱いを学ぶのは社会に出てからでいい」という認識なんでしょうかね。

そういう観点を逆転させたのが冒頭のネタで、ひょっとしてこの先、キーボードというインターフェースはマイナーな存在になり、扱いを学ぶ必要なんて無くなってしまうのかもしれません。



しかし、そんなことを考えだすと「そもそも文字入力に最適なインターフェースとは何か?」てなとこまで行ってしまう。操作のわかりやすさで言えばペン入力だけど、速度はキーボード入力のほうが遥かに速い。そして仮想キーボードには、困ったことに何の優位点もない。いやもちろん、ディスプレイ=タッチパネルで完結していてそれ以外の機器を要しないというメリットは大きいんだけど、それを入力機器としての優位点とはいわないだろう。

ところで、「入力の速さ」をキーボード入力の優位点と捉えた場合、それが最大限に生きるのはカナ入力なんだけど(単純に言ってキーを押す回数が約半分で済む)なんだって世間の大勢はちまちまとローマ字入力しているのかと毎度思う。最近はJIS配列のキーボード自体がdisられ気味で、カナ入力派はいよいよ旗色が悪い。どうなんだろうローマ字入力。日本語にも、日本人の英語習得にも良い影響を与えないと思うんだが……。

あ。そういやケータイ〜スマホって変則的だけどカナ入力だな。生まれたときから既にそういう機器がある今の若年層には、ひょっとしてローマ字入力よりもカナ入力のほうがわかりやすいんでは?