「百合好き女子でも恋がしたい!」

いつの間にか、というかまぁ『中二病でも恋がしたい!』のアニメによる浸透なんだろうけど、フィクションの中で「中二病キャラ」が一類型にまでなっていた。
虚構のあまりにも虚構的な部分と現実との別が付かないキャラクターが虚構の中で類型化されるというメタい状況はそれはそれで面白いんだけど、深耕しようがないので早々に陳腐化しそうな予感がある。
ならばポスト中二病キャラはどういう造形になるか? と考えるとひとつはやはり涼宮ハルヒになってしまうのだった。中二病という言葉が生まれる前に既に書かれていた作品なのに。「中二病的な想像力と憧れを持っている」から始まって、→だが「その非実現性も分かっている」→だが「実は中二病的状況が現出しており」→しかも「当人こそがその中核」と、基本設定のレベルでもうふたひねりか三ひねりしてあった。なのでもう個人的には、『中二病でも恋がしたい!』については「なんで今さらこれ? としか言いようがないぞ京アニ」という感想しか抱いていなかった。
http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20121005
なんだけど巷では人気作となって、中二病キャラが一類型になったのだから、どうもひねればいいというものではないらしい。
なので、スカラーは同質のまま違うベクトルでポスト中二病キャラを考えてみると、思いつくのはひとつは『腐女子でも恋がしたい!』。なんだけど、これまた腐女子という言葉が人口に膾炙しないうちから『げんしけん』が大野というキャラクターを創出していたし、近年の有名作品として既に『となりの801ちゃん』があるし、男性向け18禁にはヤスイリオスケの『ちょっとくらい腐ってるのが美味いんですよ?』がある。
http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20130210
ただこれらも、趣味的に男性同性愛嗜好であることと、本人の性的嗜好がストレートであること(って書き方だと露骨過ぎるが「男を恋愛対象としてみること」)とは容易に両立するため、あまり面白みがない。あ、『絶チル』のパティは好きです私。
では、趣味的な…フィクションに対する…同性愛嗜好と本人のストレートな性的嗜好とが、傍目には両立し難いけど両立しているキャラ造形はあり得るのか? と考えて思いついたのが『百合好き女子でも恋がしたい!』なのであった。
ヒロインはフィクションに描かれる百合百合な関係に憧れているけど、現実の同性の親友とは普通に親友としての距離を保っていて、彼氏がいる。彼氏とは趣味が……百合好きという趣味が合うからの付き合いで、その彼氏は実はヒロインとその親友との百合百合な関係をこそ愛していて、そこに男が(自分が)割って入ることを無粋だと思っている。でもって、その親友はガチでヒロインに好意を持っている……みたいな面倒くさいラブコメはどうだろう。
どうだろうというか、既にありそうな気がするけど。まだ無いなら誰か書いてください。