上越線土合駅

なんとなく土合へ行ってみた。
昨日付けで触れたガンプラコンテストの件で宮原に行く→時期的に18きっぷを使おう→宮原往復で一回分とか無駄遣いせずにちょっと上越線で遠くまで行こう→じゃあ土合…という意志決定プロセス。
土合ってのはこういう駅だ。

宮原からは普通列車、途中で高崎行快速に乗り換え、高崎から水上行乗り換え、そして水上から長岡行で10分ほど。乗り継ぎがよければトータルで2時間50分。


国境の長いトンネルを抜ける前からそこは雪国だった。乗り換えのために降りた水上駅


そして土合駅。上り下りでホームが別、「モグラ駅」なのは下り線ホームのみと聞いていたからこぢんまりとした狭いホームを想像していたのだが、意外にもこんな堂々としたものだった。どう見ても複線分ある。

下りホームは単式1面1線の構造である。かつては、通過線(本線)と副本線が設けられており、副本線にホームが設置されていたが、2008年5月から10月にかけてホーム改良工事が行われ、ホームが副本線から本線へ移された。
(フリー百科事典ウィキペディア土合駅」より)

とのこと。


そして問題の階段。これも幅が広く、さほど侘びしいムードではない。



階段の傍らを地下水がサラサラと流れる。左手側(上り時)の排水路は無機的ないわゆる側溝でなく、ちょっと渓流っぽいムード。ただしこれは……。

エスカレーターの設置スペースが確保されているが、現在エスカレーターを設置する予定はない。

とのことで、雰囲気づくりでこうしたわけではない。


途中で休憩用のベンチがある。階段には10段ごとに何段目か書かれており、観光スポットという認識があるようだ。
 
降りたのは私ともうひとりだけ、駅は人里離れた立地だから、待合室は誰もいない静かな空間だろうと思っていたら。


我が物顔の登山客どもに占拠されていた(荷物しか写らない場所とタイミングで撮影)。普段着の私がアウェー感を味合わざるを得ないのは仕方がないとして、完全にテメェらのルールで動きやがる。泥で汚れたザックを椅子の上においたり、コンロ取り出して煮炊きを始めたり。ここはテントでも山小屋でもねぇぞゴラァ。
邪魔くさくてかつて駅員配置駅だった駅舎の名残も撮影できなかった。


しかし外は吹雪いており、駅からどこへ行けるという状況でもなく。


とりあえず下りホームをみておこう…あっ!! いかなる偶然か、ちょうど目の前で除雪作業中。

除雪車自体を見るのは初めてではないが、除雪作業は今まで見たことがなかった。



そうして白い闇に紛れていく。


さて、土合駅着は13時50分、上り列車は15時31分。何とか時間をつぶさなくてはならないが、しかし連中と同じ空気を吸いたくないのでまた地下に潜る。消失点が点だ。

ホームの傍らにも小さな待合室があり、そこで仕事道具(ポメラと資料と色々)を広げる。これが期待以上に居心地の良い場所だった。ただ静かなだけでなく地下水のせせらぎが耳に届き、癒しを与えてくれる。暖房は無いが風も無い。自分以外の人間が来ることはまず無い。通過列車も無い。電波が届かないので電話やネットに煩わされない。トンネルの中といっても照明は普通の屋内と変わらず、飲料・食料はないがトイレはある。どうしても飲料が欲しくなったら地上の待合室に行けばいい……階段を往復20分上り下りすることになるが。実にこれカンヅメ向きの場所だ。冬コミの原稿がはかどらない、などとお悩みの方は、画材と原稿用紙持参で土合駅を訪ねてみてはいかがだろうか。


そして約10分遅れの上り列車。除雪車が使われるほどだから当然だが、ホームはこの有様。これで関東平野まで戻ってくると雪なんて欠片もないのだから、ちょっとした異国まで行ってきた気分だ。国境は越えてないけれど(しつこい。念のため書いておくとこの土合までは群馬県、もうちょい進むと長いトンネルの中で県境=上越国境を越えて新潟県土樽駅に至る)。
まさに「行って帰ってきた」だけの旅行だが、実に楽しい休日だった。