首の無い石仏


「織田兵たちはあろうことか、石仏を弄ぶように破壊していった。まるで神や仏に自分達の力を見せ付けているかのようだ。」

「頭を失った石仏たちがその無残な姿をさらしている。」
――と、土曜に録画した「タイムスクープハンター」を今頃見てたら妙なノリになってしまったがあいにく私はコードナンバー431597ではないし、撮影したのは西暦変換すると2013年7月21日10時48分。つまりこの前。場所は群馬県藤岡市の七輿山古墳の中腹で、言うまでもないが織田兵は全く関係無い。
古墳に神社が造営されたり、石仏が祀られていたりするのは別に珍しいことではない。だが、かくもことごとく頭部が失われているのは(古墳に限らず)ちょっと見た覚えがない。
まぁ、首や手首の細い部分は破損しやすいし、手入れをする人がいないと経年劣化でこうなるのだろう……と思いつつ、頂上に向かう。

広場側に背を向けて、石仏が座していた。

……そしてこれもまた、頭部が失われていた。

正面側に回り込む。首の無い石仏が3体並んで佇む。これより手前は薮に覆われ、断崖というほどではないが急斜面になっているため、引いて撮ることができなかった。きちんと拝める位置に回りこめないというおかしな立地である。これら石仏は崖下を見守る形で据えられたのだろうか?

左。象の上に座って何やら楽器を弾いているらしい。弁天様かと思ったが、しかし象に乗った弁天様というのはあまりいないようだ。

中央。蓮台のうえで結跏趺坐。それ以上は私の無知もあってわからない。

右。獅子の上に座って、右手のなかのネックしか残ってないが、こちらもどうも楽器を持っていたものと思われる。
単に首や手首が失われているというだけなら、これも単なる経年劣化だと思っていたところだが、しかしこの仏像、そもそもの設置の仕方がどうにも奇妙だ。場所が古墳の上、つまり仏教伝来以前の権力者の墳墓だけに、諸星大二郎的な想像が広がってしまう。
 
……まぁ、この近くにある藤岡歴史館に聞けば一発で答がわかるんだろうけどね。そのうち聞いてみます。
つづく↓(7月30日付)