まんがタイムきららキャラット8月号

前号今号と2号連続で「Aチャンネル」が表紙(&巻頭カラー)。4人いるヒロインを二人ずつに分けての表紙だからてっきり「2号並べると全員集合の一枚絵が完成!」という仕掛けかと思っていたがそんなことはなかった。萌え系四コマ誌のこういう温度の低さが未だによくわからない。毎月買うようになってもう1年以上経つというのに。
 
「Aチャンネル」
珍しいナギ主役回、と思わせて佐藤先生の謎に迫る回。るんちゃん絡みでないシチュだとさほどの変態でもない、というか並の変人だな。いつもの犯罪者ギリギリの奇行も問題だが、といってこの程度ではキャラが立たないという困った御仁だ。
 
キルミーベイベー
なんというパワフルなツインテ、からの記憶喪失展開は全くの予想外だった。この程度の衝撃で記憶を失うようなタマじゃないだろ的な意味でも。ラストはふつうに非道いな。 
 
「ごきチャ」
ごきチャが美術室で絵の具まみれになる話。これが「週刊少年チャンピオン」だったなら(どういう仮定か)「GA」に続いて掲載されてコンボが成立していたところだが、あいにく「きららキャラット」なのでそもそも「GA」はお休みなのであった。
基本に立ち返った回……のようで今ひとつ物足りないのは、ごきチャの行動原理が「人間と仲良くしたい」からではないからか。
 
ひだまりスケッチ
紗英ヒロはもう普通に夫婦だよなあ、というわけで二人きりの生活に向けて引っ越しする話。泣かせどころのクライマックスは前回の卒業式と位置付けたか、今回はふつうにバタバタ大掃除のてんやわんやだった。二人が去ってもメインのレギュラー4人はひだまり荘に残るわけで、その先はどうするんだろう。
そして次号は休載。作者のウェブサイトを見るとだいぶ体調が悪そうで心配されます。
 
「先輩には頭が上がらない!」
フラグのフの字も無えッ! ここまでの徹底否定はちょっと珍しいかもしれない。時任くんがちょっと可哀相になる……なんてことはなく野乃さんとちょっといいムードになっていて、なんかまた強引に三角関係構築に話を持っていったなという印象。
単行本の宣伝は「隣の席でもむかい先輩」というシャレなんだろうかひょっとして。
 
「セカイ魔王」
珍しく勇者アルシャのパートのみの回。結末だけを取ると結構ハードだ。しかしこれ、ちゃんと予め「真相」というか結末が用意してあって、そこに向かって進んでいるんだよねえ? あっちもこっちも運命に翻弄されてばかりだから心配になってくる。
 
はるみねーしょん
まさかこのマンガで「こういう時は助け合うもんだよ」「友達だからね」なるへそ なんてベタなエピソードをみるとは思わなかった。
回想シーンは話者の周囲にもちゃんと伝わっているのか? というのはマンガを読んでいるといつも気になるよな(今だと「黒子のバスケ」とか)。ていうか、冒頭の4コマはただ回想しただけとして、最後の「みたいな感じで」に至るまでのエピソードははるみはあの場で語ったんだろうか?
 
「インプロ!」
最終回。自分自身を演じる…というお芝居を、それもインプロ(即興)で演じている様子を、マンガにして描くというのはもう、マンガという表現技法に対する挑戦というかフィクションそのものへの挑戦というか何かトンデモない実験なんじゃないか!? という気がする。
マンガという虚構の中で演じられる芝居は実のところ虚構内現実のキャラクターそのものであるんだけれど、途中から「かっこ付き」でなくなってお芝居抜きでの真情の吐露になっている、という演出の妙よ。
正直、百合要素とか失禁とかは無理矢理入れている感じでずーっと邪魔に感じていたし、物語としては英国公演がピークであとはオマケという印象だったけど、それでもこの最終回は十分に読み応えがあり、また綺麗にまとまったものでした。「落花流水」もマァ、何か機会があったら読むとしよう。