週刊少年ジャンプ#29

食戟のソーマ
これにて四宮vs田所&ソーマの食戟は決着。巧いことまとめたもんだと感心する。スペシャリテを出さなかった件は、今回は裏方に徹したソーマのストーリーにも吸収された。四宮は全力を出していなかったことを前提とし、さらに田所は食べる人のことを思いやりつつ料理に取り組んでいたと描いたうえで、「あの場において幸平創真ただ一人が本気で勝つつもりでいた…」とソーマのキャラを際立てている。

前回について私は、「張り詰め通していること」と「停滞していること」と「食べる側に気を配ること」は、実はそれぞれ別の次元のこと――と書いたが、これについても「切り捨てるのではなく…あらゆる所から吸収しようとする貪欲さこそが不可欠なのだ」と見事に束ねた。

それと、私は気にしてなかったけど「こんな、人を育てる気の無いバタバタ切り捨ててく機関が学校かよ!?」という批判に答えるように、「教育者」堂島の評価も書かれており、総じて隙が無い(隙をきっちり埋めにきた)作劇という印象だ。

今後もこのクオリティが維持できるか? との疑問はあるがともかくもこの食戟は見事だったと評価したい。
 
ワールドトリガー
次号、第19話にしてセンターカラー。まずはひとつ壁を乗り越えたかとひと安心だが、肝心のストーリーのほうが先週今週とやや不調で心配になる。腹に一物抱えた大人たちの悪巧みの相談なんてのは決してつまらなくはないけど、うーん、ジャンプマンガに求められているものからかけ離れているよねえ? やはり物語の中心は主人公、オサムと遊真でないと。

遊真の父についても、なんとか面白い人物像に仕立ててはいるが、これも台詞で説明されるだけだからマンガとしては地味。ていうか回想以外で本人登場はあり得ないキャラに関する言及にページを割いてもなぁと思ってしまう。
つーかもう内輪もめはそこそこにしてさぁ、ネイバーとの戦闘を描くべきなんでないの?