たんこぶが引っ込んじゃったよ

6月25日付でアップされた日経ビジネスオンラインの記事、「マーケティングは死んだのか」。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120620/233591/
なんというかこれ、「ダメなプレゼンの典型例」だ。
【要点不明でダメ】とにかく長く、要点とすべき要素が2つ3つ入っている。半分に収めるか2回に分けるべきだった。
【たとえ話がダメ】 「天動説」「地動説」と大仰なたとえ話を持ち出すが、要は「プロダクトアウト」か「マーケットイン」かというだけ(製品開発に限らないからプロダクトアウトならぬプロジェクトアウトとでもいおうか)。たとえ話によって、かえって分かりにくくなっている。
【図式化がダメ】 図に描いた説明が入るが、それで分かりやすくなっているわけでもない。ていうかそもそも図にするほど難しい話でもない。
【分析がダメ】 p3〜4では従来型のマーケットリサーチの限界の話になっているが、無根拠。「なんとなくそうじゃないかなと思いました」レベルで説得力が無い。リサーチの限界の話がリサーチに基づかないなんて悪い冗談だ。恣意的に拾い上げた数値であれ、統計などのデータを示すべきところ。
【新語がダメ】 記事は最後に「価値創造責任者」に落着する。話が右往左往した挙げ句、耳馴染みの無い新語に落着されても「ナニそれ?」てなもんである。まず最初に「今後の企業の成長を握るのは『価値創造責任者』である」とドーンと打ち出して興味を喚起し、それが何者であるか、なぜ鍵を握るのかを論じていけば良いものを。
この程度の新味のないアイデアすらマトモにプレゼンできない人とは一体何者なんだろう? とプロフィールを開いたところ……。

博報堂エンゲージメントプロデュース局局長代理エグゼクティブ・ストラテジックプラニングディレクター

「たんこぶが引っ込んじゃったよ」と言わざるを得ないのだった。