/機動戦士ガンダムAGE#23

「グルーデックが普通に出所」という最もあり得ない展開になる、それがAGEクオリティ。

単なる軍規違反でなくて政治的な理由で投獄されたんだから、まず普通に考えれば死刑。それではドラマにならないから終身刑か、釈放されたとしても軟禁生活が妥当だ。戦時下という設定を生かすなら、懲罰部隊をあてがわれて最前線に放り出される、なんて待遇もアリだろう。

それがなんでヤクザ映画よろしく「世話になったな」なんつって出てくるのよ? 看守が賞賛をもって見送るくらいに功績は知られているのに、誰も出迎えにこないというのも不自然。フリット中将が街の酒場で接触できるということは、監視役さえついていないんだろう。

バカ?

設定としておかしいだけでなく、ドラマとして変だろこれ。「ヴェイガン打倒にはグルーデックの力が不可欠だ。牢獄(or軟禁状態)から強硬に救出しろ!」だけでひとつ山場が作れるのに、なんでこうなるの? 大マケにマケて、「フリットが下した命令によって無条件で釈放された」というならまだ許すけど(次の回で今回との整合性を無視してそう言い出しそうな気がする)、そういうのは予め伏線をはっておくか、せめて今回のうちに一言ほのめかすべきだ。

などと今回も冒頭からガッカリションボリだったのだが、本編はまずまず。このところジャンク回続きで感想の俎上に載せることさえはばかられたが、今回はジャンクフードにはなった。まぁジャンクフードだってなまいたの上には載せたかねぇけど。

20話の感想でゼハートについて、「純然たるパイロットならばそれでもいいかと思うけど、兄ちゃんや部下に司令官の資質を疑われている流れなんだからさ」などと書いていたら、今回マジシャンズ8がまさに、司令官としての無能を非難しつつパイロットしての優秀さを認めていた。ああ、スタッフも気にしていたんだね、と誉めておくけれど、さてこのゼハートに対する不信感は今後果たして物語に生きるのか?(答・生きない)

また、19話と違って今回は命令違反を犯したアセムがきっちり営倉入りになったのも評価のしどころか。これが普通のアニメなら、「冒頭で釈放されたグルーデックと鮮やかな対を成す描写で」云々というところだが、まぁAGEだからね。

おおすごい、今回は2つも誉めるところがあった!

前回は顔も見せずに退場したマジシャンズ8が生身で登場したが、これは期待外れ。もっとこう、全員シルクハット形ヘルメットを被っているとか、コントローラーがステッキ形だとか、ハト型ファンネルが周囲を飛んでいるとか、そういうキャラを期待していたんだが。大男が去り際にドアの隙間から司令室をうかがっていたのが露骨に怪しいが、だからといって今後活躍するとは限らないので忘れてしまおう。