猿人の時代

チャンネルNECOの「ジャンボーグA」が終わり、代わって「猿の軍団」が始まった。あまりにそのまんまなタイトルどおり「猿の惑星」の便乗企画だが、今見れば「『はるか未来、荒野が広がる地球の支配者は猿だった』というアイデアは共通のものとしながら、全く別の物語を紡ごうとしている意欲作」と素直に受け止められる。導入部の舞台は現代の日本、宇宙船は全く登場せず、コールドスリープ装置の中から目覚めてみると……が第1話で、つまり最初から「ここは地球だったんだ」とわかっているところから始まるのだ。私は「惑星」の続編は未見で概要しか知らないが、「軍団」はそれらを踏まえて「なぜ猿が支配者となったのか」の謎解きを縦軸にし、猿と人間との闘争を描いていくのだろう。
しかし、やはり当時の一般視聴者の受け止め方は「二番煎じっていうかパクリだけど「猿の惑星」まがいが毎週観られるなら面白いや」程度だったんだろうな〜と思う。「日本沈没」以後だから、小松左京の名は広く一般に認知され、不動のものとなっていたとはいえ、タイトルが「猿の軍団」ではねえ。
まぁ背景の事情がどうあれ、ヒーロー物でない特撮SFドラマがテレビで、それもゴールデンタイムに放映されてたなんて今では信じ難い話です。
♪憎しみ合うのはもうやめて〜戦え!
という、ここだけ取ると矛盾した歌詞が印象的なオープニング、映像のほうはというと、現実の猿の映像が短いカットで次々につながれていくだけなんですが、それなのにものすごくイヤーな気分にさせてくれる。でもって、最後に人間のように服を着て直立している猿たち(ぶっちゃけ被り物をしたアクターなんですが)が振り返って崖の上からこちらを見下ろすので、いきなり打ちひしがれてしまいます。これは秀逸。
♪惑星Eからぁ〜 追放ぉさぁあれた〜
ってこれは「宇宙猿人ゴリ」なの〜おだぁ〜! ええと、これは単なるボケでなく。よく「ヒーローではなく悪役の名をタイトルにしたのが独特」といわれる「宇宙猿人ゴリ」(後に「宇宙猿人ゴリスペクトルマン」に、さらに「スペクトルマン」に改題)ですが、「高度な知性を持つ猿人が、愚かにも地球を破滅に導く人類に敵対する」という構図から考えると、これまた「猿の惑星」人気便乗を狙ったタイトルだったんでしょうね。