わからないなら無理をするな

『東京人』5月号掲載の写真&キャプションのひとつが度を超えてお粗末だったので、間違い探しクイズにしてみる。

Q.下の写真及びキャプションには間違いが複数あります。そのうちひとつは、専門的な知識がなくとも気付くものです。さて、どこが間違いでしょうか。

(『東京人』2010年5月号・都市出版 p49)

わかりました? キャプションがどこの何を説明しているか、理解しようとして写真と見比べるとすぐに気付くはずです。ていうか、すぐに引っかかってしまう。




写真の飛行機のどこに水平尾翼がある!?

いやもうあり得ないでしょ、こんなミス。エリアルールの理解が浅いとか、F-102Aの説明として間違ってるとかそういうレベル以前。これ書いた人は水平尾翼が何かさえ知らず、校正した人もまた一目瞭然のおかしさに気付かなかった。

要するに、ライター及び編集部は何もかも全くわかっていない。

わかってないなら無理をせず、ウィキぺからコピペ(脚韻)で済ませばいいのに、なんでわざわざ書き起こしたのか、それも理解に苦しみます。エリアルールにより垂直尾翼を小型化、というのは理屈は合ってますが、即座に思い当たる実例がありません。なんでまた、最も一般的な「主翼の付け根で胴体をくびれさせました」の説明にしなかったのやら。こっちにしておけば、大概の写真で間違いにならないものを。

ところがですね、この写真が実は大概でない。仮に正しいキャプションが添えられていたとしても、この写真では何がエリアルールなのか、絶対にわかりません。わかるはずがないんです。写真はF-102Aではなく、エリアルール発見前の、音速を超せなかった試作機YF-102なんだから。エリアルールに基づく特徴的な形状が、この機体には一切無い。

全く別の機体だったら作業上のケアレスミスかと思うところですが、これはやはり何もかも全くわからないまま、写真を選んでしまったと捉えざるを得ません(まぁ写真を貸すほうは当然、この機体がどういう何かわかっていたはずなんで、ちょっと不親切というか意地悪じゃないの? という気はする)。

わかってないなら無理をせず、写真なんて載せなければいいんです。載せるにしても、キャプションは最低限にすればいいでしょう。それをなんでまた、わかってないことをわかってないまま説明しようとしたのか。私には全くわかりません。